短編夢置き場

□色褪せない綺麗な思い出
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使い古してもう真っ白とは言えないパレット。
幾度となく紙の上を滑りボサボサになった筆先。
お気に入りの絵の具のチューブ。
作業用の絵の具だらけのジャージ。


グラウンドが見える窓、絵の具や彫刻刀のあと、様々な色がついた机。


全部全部、私の大好きなもの。


放課後の大半はこの美術室で過ごした。正確にいえば放課後だけではなく、休み時間や、授業をサボるのにも使ったりしたっけ。


時には水彩画をしてみたり、ただ他の美術部員の作品を眺めて見たり、デッサンをして見たり。はたまた窓からグラウンドを眺めて、部活中の姿を見てみたり。その姿をスケッチブックに写して見たり。


もうそんな時間も無くなるんだなぁ、と思いながら、今までお世話になった画材たちを鞄に詰め込む。

大きめの鞄を持ってきてはいたけれど、鞄はぎゅうぎゅう。ついでに思い出もぎゅうぎゅう詰め込んで。
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