ウイレン(アムネシア、イッキ、シンメイン☆連載中)
□世界はこのまま真っ暗でいい
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ポツ、ポツと世界を濡らすは雨。
次第に強くなっていく雨は音色を変え、水溜まりを作っていく。
まだ夜ではないのに、空を見上げれば雲は真っ黒で、世界が真っ暗になった気がする。
こんな日は凄く安心する。
『…何、やってんの』
振り返れば、黒髪の華奢な男性。
つり目で目付きはちょっと悪いけれど、整った綺麗な顔立ち。男の子には不釣り合いな台詞かも知れないが、そこらの女の子より綺麗なのは間違いない。
『…何って、別に何も』
『何もないのに、大学の目の前で、傘もささずにこんな雨の中突っ立ってるワケ？』
『…あの、私誰にも迷惑かけてません』
確かに髪どころか、服もびしょ濡れだ。顔にぴったりと張り付く髪も、濡れて色が変わった衣服が体にまとわりつくのも、鬱陶しい。鬱陶しいけれど、これで良い。濡れていたい。
『俺に迷惑かけてる。つーか、目障り。』
これが私の、シンとの出会いだった。
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