スノウブルー(アムネシア、イッキ★完結済!)
□サヨナラさえ言わずに、また会いたいとも言えずに
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深夜4時半の町並みはまだ薄暗くて、車ひとつ通らない。町全体が眠っているかのような静けさの中、私が雪道を歩くキシキシ、ギュ、という音だけが響く。
こんな時間だから寒さだけは厳しくて、鼻がツンと冷え、耳も痛い。
吐く息は真っ白で、さっきまでいた暖かなベッドを思い返す。
私はあのあとイッキさんの腕の中で少しだけ幸せな眠りについた。
ふと目が覚めれば、イッキさんがこちらを向いて寝ていて、スー、スー、と規則正しい吐息が聞こえた。
私の首の下はイッキさんの腕があって、腕枕までしてもらったんだ…と嬉しさと何だか申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
枕元の時計を見ればまだ深夜4時。
イッキさんを起こさないように私は体をゆっくり起こし、イッキさんの腕に軽くキスをした。気付かれないように、そっと。