book
□Kiss ・kiss ・kiss
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アタシの細やかな抵抗もむなしく、要望通り紅茶を入れてくれたまもちゃんはまた、小説に夢中になっていた。
「でねー、まこちゃんがねー、」
「。。。うん。」
「。。。」
一生懸命話しかけても、返ってくるのは気のない返事ばかり。
絶対アタシの話なんて右から左に流れてる。
なんだか本に負けた気がして、悔しかった。
何時もなら気にならないそんなことも、気になってしまう。
「ねぇ。まもちゃん。」
「んー?」
「キス、して?」
「え!?」
どうせ聞いてないんだからと、アタシは思いきって大胆な事を言ってしまったのだけど、その一言にまもちゃんは思いっきり反応して、驚いた顔でアタシを見ていた。
「あ、えと、あははは!!!」
何だか恥ずかしくなって笑ってごまかしてしまう。凄く恥ずかしい。
「うさ。」
名前を呼ぶ優しい声が聞こえたかと思ったらそのままちゅっとオデコにキスをされた。
びっくりしてまもちゃんを見ると、頭をヨシヨシと撫でてくれた。
いつもならこれで充分満足なんだけど、今日のアタシには物足りない。
また、本を読もうとするまもちゃんの手をアタシは無意識に取って唇に触れさせた。
「こっちがいい。。。」
「うさ?」
さすがにいつもとは違うアタシの雰囲気を察したのか、不思議そうにアタシを見る。
「アタシ、子供じゃないもん。。。」
呟く様な小さな声で発した言葉だったけど、静かすぎる部屋では充分聞き取れた様で、まもちゃんは少し困った顔をした。
「そんな事思ってないよ?」
「。。。うそ。」
「うそじゃないよ。」
「。。。ならちゃんとキスして。」
「。。。」