読  物

□RE
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自分が面倒を見てやらなければ、と思うようになったのはいつ頃からだったか。

今やこのチームの中でアイツの事を一番分かっているのは自分だと自負しているが、元を正せば単なる成り行き(上からの指示)で、望んでそうなった訳じゃない。

…と思いたい。





「クリス先輩!」

俺を見つけると、飼い主を見つけた馬鹿犬のように瞳を輝かせて駆け寄ってくる後輩。

こっちの都合もお構いなしに

「先輩、今日のメニューは?」

メニューもくそも、まだ2時限目が終わったばかりだろう。
たまたま校内で擦れ違ったからといって毎回これでは、ついつい溜息も出てしまうというものだ。

「集中して授業を聞け」

「えっ?メニュー…」

「だからそれが今のお前のメニューだ」

「ええぇ〜〜!?」

近くに居た、自分と同室で沢村と同じクラスの金丸が

「先輩、俺がちゃんと監視しときますんで」

と口端を吊り上げる。

「ああ、頼んだぞ」

「ハイ」

というやりとりを聞いた沢村の怒りと困惑の表情に、投手がそんなに感情丸出しでどうする?と、また溜息が出る。

「全く懲りないヤツだ。授業中に居眠りなんかしたらただじゃ置かないからな」

「ぐぅ…」

そう釘を刺したところで、仕方ないなと思わず浮かんだ笑みに、ヘヘッと応えるように笑う沢村の肩越しにピョコピョコ揺れる尻尾が見えたような気がした。






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