パラレル

□Love so sweet
1ページ/4ページ





俺がまだ子供の頃の話。



毎年夏休みが来るのが楽しみで、7月に入ると終業式までの日数を毎日指折り数えてた俺。
まぁ幸い俺の周りは俺と似たようなのばっかりで、とにかく休みになったらクワガタ獲りに行くやら、海に行くやら、まだ気の早い計画を明日のことのように話すヤツらと、勉強なんてそっちのけで毎日草野球やドッヂボールに明け暮れていた。


夏休みはじいちゃんとばあちゃんがいる島で過ごした。

飛行機を乗り継いで、プロペラ機で降りた島から、小さな船に乗って更に小一時間。
どこまでもコバルトブルーの海と、眩しく照りつけるオレンジの太陽と、そして、ひと夏を一緒に過ごすひとつ上の友達、かーくん。
物心ついた頃から島に行く度に一緒に過ごした、まぁ言うなれば悪友と遊ぶのが一番の楽しみで、船が着くのがいつも待ち切れなかった。

行く度にかーくんは新しい秘密の場所の地図の印を増やして俺を待ち構えてる。
そこからは毎日2人でトム・ソーヤよろしく裸足で朝から晩まで泥んこになって駆け回った。
かーくんがトムで俺がハックルベリー・フィン。
2人一緒ならどんなことでも出来るような気がした。

8月の後半になると夏休みが終わってしまうのが嫌で嫌で、毎晩布団の中でバレないように涙を啜ってた。
学校が始まる2〜3日前には帰らなけりゃならない。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ