シャルルル
□スザルル
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バシャッ
「っ…」
「…きろ…」
「……う…」
「起きろ…」
水を掛けられ、無理矢理意識を取り戻された反逆者は、まだハッキリとしない意識で、俺を見据えた。
「……ハッ、お忙しいラウンズ様が、こんな所に何しに来たんだ?」
「……」
「まさか、わざわざ俺に逢いに来た訳でもあるまいに…」
相変わらず口が達者な奴だ。
こんな狭い牢獄に入れられ、毎日気が狂う様な事をされれば、少しは大人しくなると思ったんだが…、とんだ計算違いだ。
やはり、他の奴では駄目か…。
「…だとしたら、どうする?」
「…笑えない冗談だな」
「昔の友人に逢いに来たって、何も不思議では無いだろう?」
「偽りのな」
「偽りにしたのはどっちだ…」
「お互い様だろ」
「…そうだな、お互い騙し合っていたんだもんな…。毎日狂った様に求め合い、互いの身体を貪っていたのに…」
「っ、やめろ…!!」
「…何だ?本当の事じゃないか。あんなに毎日毎日、所構わず、俺とヤり合ってたくせに…」
「やめろっ…!!聞きたくない…!!」
「馬鹿だよなぁ、あの時の俺は…。反逆者と何回も寝てたんだぜ?考えただけでヘドが出る」
「っ……」
一瞬の内に、奴の顔が曇ったのが解った。
俺の放つ言葉が、鋭利なナイフの様に、奴の胸に突き刺さる。
そうだ…、もっと傷付けば良い…。
「まぁ…、今となってはどうでも良い事か…」
「っ!!よせっ…!!」
無理矢理ベッドに押し倒し、身体を組み敷くと、手足をばたつかせ、抵抗を始める。
「…うざったいなぁ、じっとしてろよ」
「うぁっ!!」
両手首を強く握り上げると、うめき声を上げ、ベッドに身体を沈ませた。
それを見て、持って来た縄で、両手首を一つに纏め、きつく縛り上げる。
「…今から何が起ころうとしているか解るか?」
「……っ」
「…何だと思う?思った事言ってみろよ」
「お前に言う事何て、何もない…」
「へぇ…、随分生意気な口をきくじゃないか…。自分の立場が解っているのか?」
「…ハッ、誰が…、貴様何かに…」
「……」
ピリッ、と脳に閃光が走り、憎悪の感情が沸き上がる。
この男は、わざと俺を煽る様な言葉を選んでいるのだろうか。
怒らせたい?
悲しませたい?
嫌われたい?
あぁ…、苛々する。
「…この中身が何か解るか?」
「?」
俺が持って来た紙袋を掲げると、奴は訝しげに、それを見つめる。
「…じゃぁ、今から俺が何をしようとしているのか、教えてやるよ」
「!?」
ガサガサ、と紙袋を逆にし、中身を放り出すと、奴は眼を見開き、驚愕の表情を見せた。
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