好きです先輩!!

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少し早く待ち合わせの場所について、南沢さんを待つ
まだかな、ときょろきょろしているといつもとはちょっと違う南沢さん

……私服超かっこいい死ぬ


「!南沢さん!」
「わり、ちょっと遅くなったわ」
「全然大丈夫です!」


へへ、と笑うと南沢さんは呆れたように笑った


「お前ほんと俺のこと好きな」
「ふふ、好きですー大好きですー」
「はいはい」


自分から振っといてなにその流し方!酷い!
そう喚けば南沢さんはまたはいはい、と言って私の頭を撫でた

……ずるい、嬉しいんだから許しちゃうに決まってるでしょ


「じゃー行くか」
「はい!」


一歩先に歩き始めた南沢さんは、私より少し歩幅が広くて置いていかれそうになった

それでもさすが、彼女が7人いて今もモテ続けている南沢さんだ
すぐに歩幅を狭めて私に歩くスピードを合わせてくれた


……かっこいい、かっこいい……けど


こんなに優しいことを、南沢さんは誰にでもやってて
このさりげない優しさにときめいているのは私だけじゃないし、
それどころか何人も、数えられないくらいの女の子たちがいるかもしれない


そう考えると、今まで感じたことのない苦しさを感じた

いやだ、いやだいやだ
南沢さん、わたしだけを見て
そんな汚い感情が顔を出す

……やだ、
こんな私が一番嫌だ

ここから消えてなくなってしまいたい衝動に駆られる
せっかく楽しいデートなのに
ぎゅう、とこぶしを握った


「……叶?」
「……え、」
「どうした?具合悪い?」
「なんでもないです、大丈夫です」
「……、」


眉間にしわを寄せて私の手首をつかんだ南沢さん
そのままぐいぐいと引っ張って歩き始めた


「歩ける?」
「だから、なんでもないですって」
「本当に何でもないなら、すぐになんでもないなんて言わないんだよ
自分がつらいって自覚してないとすぐにそんな返事出せないだろ」
「……」
「なんか顔色悪いし、お前が元気ないとつまんねーんだよ」


ほら、座れ
南沢さんが言う
人込みを抜けてベンチに座った

せっかく私のために今日、来てくれたのに
ごめんなさい、ごめんなさい

謝罪を口に出す勇気もなくて心の中で何度も繰り返した





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