好きです先輩!!

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夏祭りから1週間が経とうとしていた

わたしと南沢さんの関係は変わらない
私が南沢さんを追いかければ追いかけた分だけ南沢さんは逃げる

なにも、変わってない




授業が終わり部活をやっていないわたしは家に帰ろうと裏門へ向かっていた

裏門に行く途中、南沢さんの声が聞こえた気がして物陰からその方向を見た

するとそこにはやっぱり南沢さん
……と、女の人


「……悪かったよ」
「なん、で……やだ、南沢くん、やだ」
「ごめんな、もうこういうのやめたいんだ」
「なんで?全部ウソだったの?」
「……ごめん」


……あぁ、わかった、この人“そーゆー関係”の人だ
そう考えると少し胸が痛んだ

けど、もうやめたいって
どういう、ことかな


もう俺、本当に欲しいもの見つけたから
南沢さんはそういうとその女の人を残してこっちに向かってきた

ヤバい、バレる

そう思って私は逃げ出した
……いや、ただしくは逃げ出したかった

少しスタートが遅れたらしく、南沢さんにばれてしまったのだ
そしてそのまま腕を掴まれる


「……ごめん、なさい」
「見てたの?」
「……ハイ」


私が頷くと南沢さんははあ、とため息をついた

……呆れ、られた?


「まあいいわ、俺さ、ああいうのやめたの」
「どーいうのですか」
「……セフレ?的な?」
「うわあ包み隠さず!!いっそすがすがしい」


さっきの私の予想、正解だった
……ていうか、え?
……やめた……?


「なんで、ですか?」
「ん?んーそういうの全部やめてでも、向き合いたい奴がいるんだよ」


そういう南沢さんは、見たこともないほど優しげで
なにか大切なものを思い浮かべている、そんな目だった

南沢さんに、本当に好きな人ができたんだ

ちくり、また胸が痛む


「そう、ですか」
「あぁ、……じゃあ、俺部活行くわ」
「あ、はい」


南沢さんは行ってしまった

……南沢さんを、変えた人
南沢さんに本気で愛してもらえる人

うらやましいな、なんて思った
やだ、わたしまたわがままで汚い

……やだ、
こんな痛み知りたくなかった

そう考えながら帰路についた







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そろそろ終わりに向かいます

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