xxx!
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*霧野視点
「妹!」
「待てよ!」
妹は部屋から飛び出すように出て行った
名前を呼んでも振り返ってはくれなかった
「……最低、だ」
神童が呟いた
俺も頷く
せっかく妹が全てを話してくれたのに
「なにも、声をかけてやれなかった」
「俺たちが軽蔑したと思ったんだろうな、きっと」
「……あぁ、」
そうだな、と呟いた
ぎゅうと目を瞑る
妹の笑顔がよぎった
あの笑顔の裏に、こんなにも辛いことを隠していたなんて
どんな言葉を伝えても、それは偽善でしかない気がして
だから俺も神童も何も言えなかったのだ
きっと妹は、俺たちが彼女から離れていくと思ったに違いない
「追いかけなきゃ」
「でも、」
なんて言ったら、
「言葉なんて考えてる場合じゃない、今は傍にいるべきだ」
「……あぁ、そうだな」
行こう、と神童が俺の手をひく
そうだ、今はとにかく妹の傍にいてやりたい
彼女の背負ってきた重荷を3人で分ければいいんだ
大丈夫、俺たちならできる
そう自分に言い聞かせて妹を追いかけた
(今行くから、)(待ってて、妹)
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