短編

□幸せは有毒
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※大人設定
※南沢さんがヘビースモーカー









「……美味しいの?」
「ん?」
「それ、煙草」
「あー……」


美味しい、かな
篤志はそう呟いて煙を吐いた


「まあ、吸わない人からすればただの煙だよな」
「有害だしね」
「そうだな、よくないとは思うんだけど」


そう言いながら篤志は灰皿に灰を落とした

このときの彼の表情がたまらなく好きだから私は彼に煙草をやめてとは言えないのだ
それを伝えたら、彼はくだらないと笑うだろうか


「……なに?」
「いや、そんなに美味しいのかなって」
「吸ったことないっけ」
「うん、なんか苦しそうで」


煙草の匂いが嫌いなわけじゃないし
健康への影響を気にするほど体に気をつかっているわけじゃない
なんとなく、吸ったことがないだけだ

そう考えながらもう一度、煙草を吸う篤志の横顔を見つめた


「……そんなに気になる?」
「え?」
「煙草の味」
「まぁ、ね」


いつも彼が仕事でのストレスを抑えるために吸う煙草は
どんな味がするんだろう
わたしじゃ彼のストレスを減らすことはできないのか

なんてくだらないことを考えているだけだ


「……じゃあ、試してみる?」
「え……っ、」


聞き返しながら篤志の方を向けば鼻が触れるほど近くに彼の整った顔があった
そしてすぐに唇が重なる
驚いて目を閉じると半開きの口から舌が割り込んできた
煙草の苦い香りを少しだけ感じた

息が苦しくなって篤志の肩を押すと、ゆっくりと唇を離される


「……な、旨いだろ?」
「っ……ばか!」


彼の口から伝ったその味は苦いはずなのに甘くすら感じられて
あぁ、幸せだなあ、なんて







幸せは有毒
この煙が、私と彼の健康を少しずつ害しているとしても
それでも今が幸せだからいいか、なんてわたしは末期か







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Twitterのbotで滾ったネタです…
タイトルはコランダム様よりお借りしました



元ネタ↓

萌えるシチュエーションbot @moeru_bot

「…なんだよ?」「煙草好きな人って煙草は美味しいってよく言いますよね?」「まぁな。…気になるのか?」「まぁ、気にならないって言ったら嘘になりますけど…!?」ぐいっと引き寄せられ深いキス。ゆっくりと唇を離しニヤリとして一言。「…旨いだろ?」#萌えるシチュエーションに同意ならRT


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