短編

□内緒話
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※天馬と葵ちゃんが付き合ってます










「葵、」
「!うんっ」


嬉しそうに横で手をつなぐ空野と松風
別に仲がいいのは悪いことじゃない、むしろいいことだと思う
問題は何故今日ここに2人きりで来なかったのかということだ


「剣城、顔怖いよー?どしたの?」


隣で原が首をかしげた
どうしてこいつはこんなに普通なのか
友人の甘い声を、行動を、どうしてむず痒くならずに見聞きしていられるのか


「横でこんなにいちゃつかれて気分よくいられると思うか」
「嫉妬?」
「違う」
「えー?私は楽しいけどな」


剣城は楽しくないの?
原が問うた

別に楽しくないわけじゃない
バカップルというオマケが付いているとはいえ
想いを寄せる相手と一緒に映画を見に来たのだから

そう、俺は原が好きなのだ


「楽しいよ、悪かったな心配させて」
「ううん、大丈夫!映画楽しみだねー」
「あぁ、」


俺に笑いかける原
可愛い、なんて柄にもないな


「私ジュース買ってくる!」
「あ、わたしも行くー」


一緒に行こう、と空野と2人で原は売店の方に向かった

松風が空野に手を振った後俺の方を向く


「剣城、原と楽しそうだったじゃーん」


にやにやしながらそう言った
まさかこいつ、気づいて……


「お前らが2人でずっと仲良さそうだったからな」
「でも剣城も楽しかっただろ?」


大好きな原とたくさん話せて
そう言ってまた意地悪く笑った


「……なんで知ってんだよ」
「カマかけのつもりだったんだけどまさか引っかかるとは……」


口元を押さえた松風
最悪だ
もういい、その話題は無視しよう
そう思って他の話題を振った


「そもそもなんで今日お前ら2人でこなかったんだよ」
「えー?……教えてあげる、内緒な」


そう言って俺の耳元に口を寄せた


「       」
「……っ、そういうことは早く言えよ」
「だって剣城が原のことどう思ってるのか……剣城?」
「悪いけど、映画パス」
「え……」
「原も」
「!おう!」


笑顔で見送る松風を横目に原を迎えに行った
伝えるなら、今しかない








内緒話
「原が、剣城に告白したいから協力してってさ」





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