xxxHOLIC
□桜の花びら
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「お前誰だ?」
静かな声は俺の胸に容赦なく突き刺さった。
百目鬼の記憶がなくなるのは百も承知の上だった。
しかしいざその言葉を聞けば胸の奥がきゅっと痛くなる。
でも後悔はない。
こうしなければ百目鬼はいまここにいなかった。
「俺は四月一日君尋。同級生だ」
「そうか」
大して興味なさそうな返事にまた胸が痛くなる。
百目鬼はもう俺とのことは思い出さない。
楽しかったことも、辛かったことも…恋人だったことも…。
だからこの記憶は俺の中にしまっておこう。
彼が混乱しないように…自分を責めてしまわないように…。
俺は一緒にいれれば幸せだから。