LOVE

□実話
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おかしな夢を見た。

それは白い布で四方を囲まれたスタジオから突然始まった。

去年の夏の撮影とは違う様子に
(ああ、好評だったからなぁ)
なんて他人事の様に思ったのは、夢だから。

ちらりと横に視線を向けると至近距離にあの、顔。
相変わらずのオーラに少し見惚れると視線に気づいたのか
ぱっと振り向かれ、面食らう。
そしてニコリと笑われて心臓が高鳴った。

カシャッ

あ、と思い出したようにシャッター音が聞こえた
知ったそのカメラマンは今の、絶対ウケますよ〜!なんてご満悦だ。



和やかなムードのまま、撮影は終った。

一足早く着替えた俺は他愛も無い話を手の空いたスタッフと交わしていると
ようやく着替え終った彼とカメラマンから揃ってちょっと、と声をかけられる。
周りから少し離れた距離に違和感を感じて。
とりあえず、お疲れ様でしたと2人に声をかける。


「キリト君 この後って空いてたりする?」

「え・・・あ、大丈夫っすよ」


反射的にそう答えてしまったが、たぶん・・・平気な筈。
すると何やらカメラマンとコソコソと話し始め、
もうわけがわからず立ち尽くしていると。

「いやあのね、・・・―さんが僕達を個人的に撮影したいんだって」

「はぁ」

仕事でもないのにそれは・・・とも思ったが
知らない人間りでもないし、なにより敬愛する彼も一緒ときたら
それくらいの要望は構わないかと承知しようとしたら
突然右肩をぐっと掴まれ、口元を寄せて言われた言葉に固まってしまった。



「簡単に言うと、“俺達”でポルノ撮りたいんだって」


「・・・ハ?」




















「・・・って、衝撃的な夢だったんですよ」

「そりゃ寝汗もんだわ」


酒の席。そんな馬鹿げた夢の話を出してみた。
彼・・・清春さんは、人生経験豊富だろうし、笑ってくれるだろうと思ってだ。

予想通りにウケてくれ、気分が良い。
久々の楽しい(美味しい)酒だと思えた。


「あ、次何にします?」


カラリ、と氷だけになった彼のコップに気づき店員を呼ぶ。


「ご注文は?」

「いや、オアイソで」

「え?」


「かしこまりました。少々お待ち下さい」


気に触ってしまったか?と店員がその場を離れたところで焦って声をかけると
するりと手を取られ、そのままちゅっと口付けられる。


「っ」


「場所替えよう。夢の続き・・・聞かせて」






つり上がる唇から目が放せない

高鳴る心臓

これは夢の続き?










end

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