LOVE

□宝石
1ページ/2ページ


大した所じゃない、近場の公園でいい。

自分のお気に入りスポットを、アナタと



「ずっとこうして一緒に歩きたかったんだ」



何にも言わなくなってしまったアナタでも構わなかった。



しばらくいくらか低い横顔を見つめて
気まぐれで空を仰いだら思いのほか眩しくて。


「もう夏だね」


自分の薄手のカーディガンの袖を少しまくってから彼の刺繍入りのワイシャツの袖も同じようにしてやると

薄っすら残った痕に気づき、目を細める。

するりと指を滑らせて、ごめんね、と。



「そろそろどこかで休憩しようか」



繋いだ手を優しく引いて、前から入りたかった喫茶店へ行こう


まだしていない話がめいっぱいあるんだ。


君に、僕の。

僕が、君の。


最初はただの対話、だった。



(…べつに)


部屋の真ん中で丸まった その、身体


(社会的な罪悪感は無い、なぁ)


さしずめ聞こえるのは除湿機の可動音とアナタの吐息。


(きれいな顔だ)


コンビニの袋を抛って、近づいて

跪き、髪に触れる。



オフが重なったという理由で声かけて

まんまとと言ったらおかしいか

乗ってくれた寂しいアナタ。



「大変なんでしょう。苦しいよね。俺が開放してあげるよ」



一緒に買い込んだ酒と脱法ドラッグ。

混ぜ込んで、飲み込ませて 出来上がった理想づいたアナタは



「ねぇ、起きて。もう真夜中だ」



俺の指示で目を覚ます。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ