TOA1

□突撃☆バチカル城! 前編
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 崩壊しかけていたセントビナーに取り残された人々をシェリダンで借り受けたアルビオール2号機で助け出し、ユリアシティへ誘導して外殻大地に戻ってきたはいいのだが、戻ってきてすぐに目に飛び込んできたのはパダン平野で繰り広げられるマルクトとキムラスカの激しい戦いだった。それを目撃して一番に反応したのはナタリアで、民のことを第一に考える王女である彼女は当然、迅速に停戦を呼びかけるべく行動することを主張。だがエンゲーブ崩落まであまり猶予が無さそうだという事もわかっていた。どちらも迅速に着手すべき問題。そこでジェイドが提案したのが、二手に分かれてそれぞれ問題解決のために動くという案。ジェイドの案に反対する者はなく、それはすんなりと聞き入れられた。

 すでにジェイドとティアはエンゲーブ住人の避難誘導のをするために、ノエルの操縦するアルビオール2号機で発ったのでその姿は無い。それ以外の仲間たちは、修理すれば使用できると判断されたアルビオール1号機を使うことになった。操縦者はノエルの兄であるギンジ。飛行実験中に1号機ともども墜落事故に遭った彼だったが、幸い軽い怪我で済んでいたのだ。その陰にルークの尽力があったのだが、それはまた別の話である。

 そして、2号機の出発と入れ違いで修理の完了したアルビオール1号機で停戦のための行動を起こすことになり、そのための打ち合わせをしていた所に先のルークの発言である。

「だってさ、なんかもー直接バチカルに乗り込んだ方が早くね?」

「……ルーク。お前なぁ」

 今回の戦争はキムラスカが仕掛けたものでマルクトはあくまでも防衛しているだけに過ぎないことから、まず止めるならキムラスカという事になった。そしてパダン平原で戦端が開かれているとすれば、キムラスカの本陣はカイツールにあるだろうとのことで、カイツールへ向かうということで話が纏まりかけていたのだ。

 ルークは、別にみんなの案を完全否定したい訳じゃないんだと前置きして。

「そりゃぁ、カイツールに行って停戦してくれって頼むのも悪くないとは思う」

 だけど……と続ける。

「もし万が一、それはできないなんて言われてみろよ。シャレになんねーだろ? それならいっそのこと陛下に直接訴えた方が時間の節約になるじゃんか。ただでさえ時間かけるわけにはいかねぇんだから」

 モースがインゴベルト国王にいらない事を吹き込む前にという考えが隅にあるのは否定はしない。既に《前回》と同じタイムスケジュールで物事が進んでいるとは考えてはいないが、先手を打つことができればそれだけでも有利になる。最悪、失敗しても事前にケセドニアのアスターには内密に話を通しているので、ケセドニアとパダン平原を魔界に降ろせば一時しのぎにはなるのだし。




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