TOA1

□嬉しさ半分、強制連行
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「…………………だぁぁぁぁッ! 俺に落ち度なんてねーのに何でそこまで叩かれなきゃなんねぇんだぁぁぁッッ!!」

 現在置かれている状況とむちゃくちゃリアルな未来予想図。この二つの相乗効果で増幅されまくったストレスは並大抵じゃなかった。……そんな訳で俺が癇癪起こしたのもしょうがないと思って欲しい。こんなでも昔の俺よりは忍耐力とか我慢強さとか身に付いてると思うんだ。最低でも人並み位には。


 ……だというのに。


「それはまぁ……貴方の素行に問題があるからなのでは?」

 そんな俺へ更に火に油を注ぐような発言。ちなみに発言者は眼鏡の軍人。

 ……なぁジェイド。
 お前にそれを言われたら人としておしまいだと思う俺は間違ってるか? つーかお前。俺に記憶あるをの確信した上で言ってるだろ!?

「俺は俺なりに頑張ってるってのにその切り返しはあんまりだっ。つーか、ジェイド! おまっ、今の俺の素行を熟知するほど面識ねーだろ!? これでも俺、特務師団のみんなとか教団の人たちからの評判良いんだぞ!」

 俺はアッシュと名乗り初めてから一部の例外を除いて人様に迷惑をかけるような真似した覚えは無い! 俺の知るアッシュの名を汚したくなかったのが一番だけど、いざ名乗り初めてみると愛着が湧いてきたってのもある。だいたい人にもたれるなら好印象のほうが良いに決まってる。

 ……うん。蔑まれたり最低人間を見るような目で見られるのが嫌だって思うのは人として当然の心理だよな。実際に体験したことがあるから余計にそう思う。いま正にそんな視線を向けられているが、今回は何も後ろ暗い事が無いから気にしたら負けだ。

 そんな感じでさりげなく思考が現実逃避している間も、ジェイドが胡散臭い笑顔を浮かべて「おやぁ、名前で呼ばれるほど親しくなった覚えは無いのですがねぇ」なんてしらじらしく呟いてたり、ティア&ガイ連合軍の包囲網が地味ーに狭まってきてたりする。

 ……本気で余裕がなくなる前に撤退を考えた方がいいかもしれない。
 だってよくよく見てみるとティアとガイの視線には、ナタリアとかアニスが俺に向ける視線にこもってるような蔑みの色が無いんだ。まさか二人にも記憶が――あったりする、のか?




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