TOA1

□突撃☆バチカル城! 後編
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「お父様!!」
「ナタ……リア………?」


 なぜかナタリアが居るのに自分たちを捕らえようとしてくる兵士たちをなぎ倒し謁見の間に到着したルークたち。真っ先に声をあげたナタリアを迎えたのは、驚愕の表情で戸惑いを隠せない様子のインゴベルト国王に、やや険しい面持ちでこちらを見ている大臣。どこか空気がおかしいとルーク達は感じたが、いま優先するべきなのは停戦を訴える事と割り切り追求しないことにした。


「今はマルクトと戦争している場合ではありません! すぐに軍へ停戦命令をお出しになってくださいまし!!」
「……だが……」
「開戦の理由が私やルークが消息不明となったという事にあるならば、ここに私たちがいる以上戦いを続ける理由は無いはず。違いまして!?」
「いや、しかし……」


 強固に反論をしてこないところをみると、インゴベルト国王がナタリアの言葉に揺れているのは明らかだった。だが頑なに首を縦に振ろうとはしない。


「何を戸惑っておいでなのですか、お父様! この瞬間にもパダン平原では多くの兵が犠牲になっているのですよ!? 意味も無く民を犠牲にする必要が何処にあるというのですか!!」
「……意味が無いわけではない。此度の戦は後のキムラスカの繁栄を約束するもの。止めるわけにはいかぬのだ!」

「預言……か」

 苦々しく呟くガイ。彼の故郷も預言のせいで見殺しにされたようなものだ。

「ですがっ、マルクトは争いを望んではいません! キムラスカの繁栄を望むのなら、争わずともマルクトと手を取り合い共に発展していくという事だって可能なはずでしょう!!」


 元来ナタリアとて預言を即座に否定できる人間ではない。だが、今回の戦争に預言が関わっている事を先の国王の言葉から読み取ってしまってなお訴えを取り下げることはできなかった。それは国というよりもそこに住まう民の事を思えばこそ。育った環境や未来とも言える場所で経験した出来事に原因があるとはいえ、預言を絶対視していないルークは異端なのだ。


「……陛下。預言はもう狂い始めてるんです。だから預言どおりに事を進めてもその通りになるとは限らない」
「お父様、ルークの言っていることは本当です。現に落ちると読まれていなかったセントビナーが崩落したのを私はこの目で見ました。……ですから、このまま戦争を続けても犠牲だけが無為に増え続けるばかり!」


「預言が狂っているなどと戯言を! 読まれていなかったのではなく単に秘預言であっただけに決まっている!」


 大臣が非難の声を上げた。だがすかさずイオンが割って入る。


「セントビナーの崩落が預言はおろか秘預言にも読まれていなかった事はこの私、導師イオンが保証いたします」
「なッ」


 ルークたちの主張を肯定する言葉に、大臣の顔が青くなる。なにしろ導師イオンといえば預言を取り仕切るローレライ教団のトップ。最も預言を厳守しなければならない人物が、全ての出来事を網羅しているはずのそれに不備があると認めたのだ。




 もしや本当に預言は狂い始めているのか。そんな思いを僅かにでも抱かせるには十分だった。


「ですからお父様――」


 またとない援軍の出現に、これ幸いとナタリアが畳み掛けに入った――しかし、




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