TOA1

□うっかりさん大行進
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「………みんなの姿、見えなくなっちまった」


 伝えたいことを一通り叫び終わってホッとしたものの、落下はいまだに続いていた。


「ティア、泣きそうだったな……」


《……ルークよ。我が声に答えよ》


「それにしても、どこまで落ちるんだろ俺」


《――ルーク。我が声に答えよ》


 やっぱり、このまま落ち続けたら乖離とかしちまうんだろーか? それともどっかにぶつかって墜落死? 自分で考えた想像にサッと血の気が引いていく。せっかくチャンスを貰ったのに、そんな死に方したら前とあんまり変わらないじゃないか……というか、よくよく考えてみれば前回と違って覚悟ができてないぶん今回の方がタチが悪いのではないだろうか。

 仲間たちには必ず帰ると言ったのだが、正直なところルークには状況を打開する術が思い浮かばなかった。確証も無いのに約束したのかと責められそうだが、彼にしてみれば確証も手段も無いこの状況にあってなお絶対に帰るつもりなのだからしょうがない。

「うーん、この際だから師匠みたく大譜歌でも歌ってみるか? 確か大譜歌って最初から最後まで通して歌う時はしょーちょーってのが解んなくても効果があるってジェイドが言ってた気がするしな!」


 それじゃやってみるか! 意気込んでスーっと息を一息吸い込んだ所でルークは重要なことに気がついた。


「……あ゛。俺、大譜歌の歌詞覚えてねーじゃんっ。うわっ、トコトン意味ヌェー!」


《おーい、ルーーク? 我が声が聞こえるなら返事をしてほしいのだが》


「って、あーもう! さっきからうるせーなっ!」


《あー、取り込み中だったのならば申し訳ない。だがルーク、お前は用があって此処にいるのではないのか?》


 顔を上げたルークの目に入ったのは、かろうじて人の形をていると解る揺らめく炎のような影。影は不確かで人の形を取ったかと思えばすぐに揺らぎ明確な形を保ってはいないが、心なしかその影は髪を切る前の自身やアッシュの影に似てるよなーと頭の隅でルークは思った。

 そして今にも形を崩してしまいそうな姿とは裏腹に、発する言葉だけは恐ろしく鮮明だ。もっとも空気を介して伝えられるものではなく、直接精神に呼びかける類の声だったから鮮明なのは当たり前だったが。


「ローレライ? なんでココにいるんだ?」

《……此処は地核だ。此処以外の何処に私がいると思っている》

「え? 俺もう地核まで落ちてきちまってたのかよ!?」

《鍵を実体化させているから、てっきり私を解放しにわざわざ此処まで来てくれたと思っていたのだが……忘れていたのだな……》

 集合体はくすんと自分のキャラにそぐわないしぐさをしたかと思うと、思いっきり落ち込みはじめた。ここにアニスがいたらキモイなんて言っていたかもしれない、けれどルークが感じたのは約束をすっかり忘れていた事とローレライを落ち込ませた事に対する罪悪感。

「あー、その、……忘れててごめんな。今からでも解放してやっから」




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