TOA1

□なにこれ1
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「ぐぁっ、頭いてぇ……」

 原因不明のひどい頭痛に立っている事もできずルークは床にへたり込んでしまった。七年前に誘拐されて以来続くこの頭痛には何度も襲われているというのに一向に慣れることができない。

《我……に……わ――じく……よ》

 しかも近年では何が言いたいのだかさっぱり聞き取ることのできない幻聴まで聞こえるようになってきていて、腹が立つ事この上ない。言いたい事があるならハッキリと言いやがれってんだと毎度毎度罵倒するのだが、あちら様に伝わっている様子は無い。全くの一方通行。

「くぅっ、一体……何だって――」

 それもこれもマルクトの奴等のせいだッ! なんで俺がこんな目に遭わなきゃなんないんだっつーの!!
イライラも絶好調に達して、今にも物に当り散らそうかというその瞬間――


――どすん。


「へ?」


 何か重いものが目の前に落ちる音でハッとする。気がついたら不思議と頭痛もいつの間にか治まっていて、その事実に少々腹が立った。こんなしゃっくりみたいに簡単に直るものだったのかよ、この程度で直るって言うなら今までの俺の苦労って何だったってんだ。一通り悪態をつくとルークの次なる興味は目の前でイタタと床に打ちつけた腰をさする人影へと移る。


 そしてルークは仰天した。


「痛ーっ、ったく。ココどこだよ……って俺の部屋?」


 なにせ目の前に座り込んでいる人物は、足の先から頭の先まで鏡に映るかのごとく彼とそっくりだったのだ。呟く声すら同じ。違うのは髪の長さと目つき、それから服のくたびれ具合ぐらいか。

「な、なななななななななななな!!!!?」
「うっせーな……って、ええええええええええ!!!!!?」

 声を上げたルークに、座り込んでいたそっくりさんもようやく相手の存在に気付いてお互いに指差しつつ硬直。すかさずバタンと勢いよく窓が開かれ二つの影が飛び込んできた。

「「ルーク!! 大丈夫かっ!?」」

 これ以上ないほどに心配顔をして飛び込んできたのは二人のガイ。彼らもまた双子のようにそっくりで、片方はルークが良く知るおなじみの格好をしたガイ。もう片方のガイはゆったりとしたジャケットに緑のシャツという、屋敷の中ではあまり見ないラフな格好。



「「………ガイが二人?」」
「「………ルークが二人?」」

 二組のルークとガイはしばし呆然と向かい合うのだった。





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