ナニカ

□魔女からの贈りもの
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「……」

 見られて、いる。

 それもナニカ――ヒトでは無いモノに。


 場所はケテルブルクのホテルの僕に充てられた個室。
明日はロニール雪山にあるセフィロトへ向かうとの事で、この町の知事であるジェイドの妹さんがわざわざ手配してくれたのだ。血の繋がった実の兄妹だなんてデマなのではないかと疑いたくなるくらい、できた妹さんだと思わずにはいられない。……もしかしたら反面教師なのかもしれないけれど。


 そんなワケで、この部屋には僕一人。他の面々も今頃は明日のために各々の部屋で英気を養っている事だろう。


 だから現在、僕の視界に入る範囲内には生きているヒトはおろかイキモノの気配は皆無。ならば僕に視線を向けているモノの正体とは何なのだろう?

 ……いや、考えるの止した方がいいって。
こういうパターンの場合、絶対にろくでもないモノに違いないんだから!


 こういうときの勘は良くあたる。
僕は自らの直感を信じ、沸き起こる好奇心を押し殺して無視を決め込む事にした。




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