09/17の日記

17:28
雨宿り
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息を吹いて気付く

私が息をあてたかったのは
この一点だけど
私が息を吹くことで
空気の流れは
どうしたって変化する

そんな当たり前が
チョウチョの羽ばたきですら
おそろしくてたまらなかった


ずっと
誰かに
「気付いて!」って叫んで
「誰か」を呼んでいた

屋根と屋根の隙間からのぞく空みたいに
なんて望みのうすいことをしてるんだろう
って
いつもずっと
わかってた


息を吹いてわかる

私みたいな小さな存在じゃ
たったひとつの風鈴さえ
音を鳴らせない

私は大いなるものには
いつだって勝てない
どうしたって勝てない
勝つ必要だってない


ただ私は
この風鈴の音を
美しく思える

この音を聞いて
微笑むことができる

ただそれだけで
十二分に幸せだってこと

知ってるってこともまた
幸せなのだと
噛みしめている

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17:19
同じ空の下
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本当なら
私はここに
いないはずだった

頭上の烏におびえていないはずだった
汗まみれで掃除してないはずだった
米研ぎしてないーと後悔してないはずだった

本当なら
私はここに
いないはずだった

屋台を一人で回ってないはずだった
一人の食事じゃないはずだった
雷鳴におびえてないはずだった
蚊にくわれる心配もしてないはずだった

本当なら私は
ここに
いないはずだった

荘厳な風が揺らす風鈴の音も
遠くから聞こえるキジバトの声も
聞いてないはずだった
ここではない神様に
手を合わせてるはずだった
風が黄色い桜の葉を舞わせるのを
知らないはずだった
受け止められないはずだった

本当なら私は
今日

ここに
いないはずだった


全ての景色が一期一会なら
私はここではないところにいたかった
全てが決まっていることならば
私がここにいるのも致し方なかった

全ての景色が一期一会なら
全てのことに意味があるのなら

私はここで
ここでしか見られないもの
感じられないものを
感じていよう

いつかの景色を
人たちを
心待ちにしていよう


私は今ここで
できることをしていよう

その延長線にある未来で
私が幸せでありますように

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