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□嗚呼、はなぢ
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 ――血はだから、つまり赤い。

 身体から出る血は、だから赤い。

 間違いなくこの透明なねばついたものは、いわゆる「鼻水」である。
 酷いときにはこれが緑を帯びるときがあるが、俺の場合は常に透明であることが多い。

 俺はとりあえず鼻をかんでから部屋を出た。

 そのまま歩いて五分の駅へ行き、電車を二回乗り換える道中では暇だろうと思うので、俺の人生を振り返ってみることにする。


 あれは小学一年生の頃だった。後ろに机をかまえていた吉田くんが、急に血を吐き出したのだ。

 と、思いはしたが実際は吐き出したというよりは噴き出した、もしくは垂れ流す、もっと言うならばだから、要するに鼻血だ。

 大方、授業中に鼻くそを深追いしていたのだろう。先生がとっさにトイレットペーパーで血を拭き取ろうとするが、無駄でしかなかった。

 そして吉田くんはそのまま、天を向きながら保健室へと向かった。
 ぼたりと落ちた教科書がなんだか汚らしく、しかし、俺は好奇心をかき乱された。異常にかき乱された。

 教科書にある吉田くんの鼻血でさえ、乾ききったものでさえ鮮やかに見える。

 とりあえず、どうしたら鼻血が出るかを聞いてまわった。

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