月光の雫

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「俺の、濃くて甘くて、熱いの……飲みたいんでしょ?」


顔を近づけて、無駄に卑猥な表現で毒牙を突き刺してくるライト。


「っ……、」

正直、限界だ。

さっきから甘い血の香りが私を誘い続けて頭がクラクラする…。


そんな余裕のないリリを見て、ライトはリリの顎を持ち上げ、視線を合わせる。

親指で、年齢のわりにぷっくりと色気のある赤い唇をなぞり、自分のソレを重ねるべく近づける―――



が、唇同士が触れようとしたその瞬間、大きな音を響かせてライトは姿を消した。


いや、正確には、沈んだ。




「オレの可愛い妹に変な事教えてんじゃねーよ!」


「スバル兄!!」



現在の状況を一言で説明するのなら 鈍器で撲殺、状態だ。

今目の前に立つスバルはその辺の花瓶を手に、ライトに振り下ろした直後の様子でリリに目を向けている。

ライトはさっき説明した通り、どれだけ強い力で殴られたのか気を失っている。吸血鬼なのに…。

…が、どちらかと言えば気になるのは何故花瓶が割れていないか、だ。



「この屋敷は変質者が出んだからもっと用心しろっていつも言ってんだろ」


「うん!スバル兄大好き!」

「っ///…チッ……そういう可愛いこと言ってるからあいつらにイジられんだ」


「でもスバル兄が好きなのはほんとだよ!」

「う…、あ、ああ……」

そう無邪気な笑顔を向ければ染まるスバルの頬。


そんなスバルの心情などお構いなしにリリは無邪気な笑顔のまま残酷な言葉を口にする。

「さーて、シュウ兄のところ行ってくるね」


「……………は?シュウ?」

「うん?」

「…ふざけんなよ。アヤトの次はシュウから血ぃ貰うってか?あ?」


案の定、スバルがその不機嫌さを露骨に表せばドン、とリリの身体を力任せに壁に押し付ける。

そのまま両腕を自分の手で押さえつけ、甘い香りを漂わせるリリの首筋に顔を埋める。

そんななんともいいタイミングで邪魔は入った。



「…リリ、…?」


「あ、シュウ兄!」

どうこからどう見ても大きすぎるサイズの、クリームたっぷり、デコレーションもプロ並みのそのケーキの乗ったお皿を両手に持っている探し人であるシュウの姿に、リリは状況もお構いなしにぱぁあっと目を輝かせた。



そんなリリとは裏腹にシュウとスバルは険悪な雰囲気を漂わせていた。


「…何、してるんだ?二人で、…」

「なんだっていいだろ…つーか、お前に関係あんのかよ」




その後、喧嘩してる2人の横を通りかかったアヤトがお前も大変だな≠ンたいな憐みの目で私を見た後血をくれました。
シュウ兄の作ってくれたケーキも美味しかったです。 …アレ、作文?


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