中篇

□幼馴染編
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<<シア・原初の世界>>



ふと空を見上げると、見たこともないような綺麗な青空が広がった。


「おまえが空を見上げてるなんて、なんか気持ち悪いぞ」

「…るさい、…でも見てみろよ、空って、こんな綺麗だったか?」

「あー…ほんとだ。うまく言えないけど、いつもと違うっていうか、懐かしい?」


トーマが疑問系で言葉を残せば、シンはこくりと頷いた。
そして真剣な面持ちで口を開く。


「なあ、トーマ、…オレさ、なんか、すっげぇ大切なこと、忘れてる気がすんだよ」

「え、シンも?…俺もなんだけど…」


「多分、忘れちゃいけない事で、ついさっきまで覚えてた気がすんのに……忘れた、っていうか、思い出せないのがすっげぇムカつく」

「…俺も、守らなくちゃいけないものがあった気がする。…でもいきなりそれがなくなっちゃうのも、おかしな話だよね」


それからシンとトーマの間に訪れる沈黙。



「この帰り道って…こんなに寂しかったっけ?」
「………さあ?もっと騒がしかった気、するけど」

2人はそれ以上、口を開かなかった。




それから暫くすれば、冥土の羊のスタッフ全員に記憶の欠落があることがわかった。

みんな、口を揃えて言った。



「なにか、大切なものを失った」

心にぽっかりと、大きな穴を開ける。




それは、神様の小さな気遣い。



END.
 

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