竜の小説集

□連載予備軍短編集(恋姫以外)と過去拍手
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注:ランスwiki等を調べてもよく分からなかったので、本作ではレベル屋はJAPANの場合は城下町や栄えている都市に存在する。レベルや技能レベルは分かるが、才能限界(レベルの限界)はその時にならないと分からない、とします。

というか、有力な者にはレベル神がつくらしいんですが、戦国ランス以外は未プレイなんで分からないんですよね……知ってる方は教えて頂けると助かります。

それと、先述の通り作者は戦国ランスしかやったことがないので、設定のミスや捏造があるかもしれませんが、ご容赦下さい。


この世界が戦国ランス、もしくはランスシリーズの世界だと判明して2年が経った。

やはり成長期の子供ということで義久も成長し、特に同年代の子供と比べて身長が伸びていた。

逆に、小鹿は口調や頭脳は成長したが、身長は100cmは越えたくらいである。

彼女自身はこれから伸びていくと考えているようだが、原作時の身長が122cmということを考えると望みは薄いだろう。

それはさておき、この2年の間に義久が己が採れる行動は幾つか実行し、成果を上げていた。

とはいっても、子供のできる範囲なので政治や軍事ではなく、義久個人に関してのことや対人関係などだが。

まず始めに4歳から始めた勉強だが、既に大人も学ぶような内容に移っており、教師役の家臣が父親に対して将来は名君になると褒めていたそうである。

次に、武士の子供としては当然であるが、剣術の稽古を始めた。

将来的なことも考えて、個人の実力を磨くことは必要不可欠なので、義久は特に腕の立つ家臣を指南役にしてもらったのだが、ここで思いもよらぬ良い誤算が起きた。

それは――

――義久の技能レベルの発覚である。

稽古が始まり、指南役の家臣がまずは基礎からと素振りをさせてみると、木刀の重さに体を持っていかれることもなく、真っ直ぐとした剣筋で振ってみせたのだ。

これには家臣も驚き、義久には剣術の才能があるかもしれないと調べたところ、剣戦闘Lv2を所持していることが判明したのである。

この事実は赤子の時ですら冷静に思考してみせた義久をして人目をはばからず喜ばせた。

『剣戦闘Lv2』――これがどれほど凄い技能か分かるだろうか。

そもそも技能レベルを持つ者の99%がLv1でいわゆる一人前、Lv2の持ち主は希少で必殺技を使える天才、Lv3に至っては僅か数人確認されるのみの伝説級の能力者なのだ。

剣戦闘Lv2は原作で確認されている限りでは主人公のランス、リーザスの将軍リック・アディスン、JAPAN最強の武将上杉謙信など何れも破格の戦闘力を有している者が持っている技能で、一軍に匹敵すると言っても過言ではない。

原作時には滅んでいるような勢力の嫡男が、そんな優れた技能レベルを持っていたのかは疑問ではあったが、尼子義久に●●という存在が混じった自分だから剣戦闘Lv2というスキルなのかもしれないと、義久は後に述懐している。

また、この時に義久はちゃっかり小鹿の技能レベルも調べさせ、剣戦闘Lv1を所持していることを明らかにし、剣術の稽古を受けることができるようにした…………不幸Lv2に関しては小鹿がショックのあまり泣き、それを宥めるために義久が多大な苦労をしたことを述べておく。

そして、最後に対人関係だが、実はこれが一番労力を費やしたものであったりする。

好感を持たれるよう常に笑顔を絶やさず、家臣に限らず侍女や領内の民にも御礼を言ったり、思いやる言動を続けたのである。

例を上げると『いつもありがとう』『皆の御陰だ』『何か苦労はあるか』などであり、時には病に伏せった農民を医者を呼んで治療したりもした。

その結果、家臣からは文武に才能を持つ将来有望の跡取り、侍女や農民からは心優しく立派な若様と評されるようになった。

来る脅威(毛利やランス、魔人等)に備えて国を強くするために、早く政治に参加する必要があったし、年齢に合わない言動を不振に思われないようにするのに必要な行為だったのだ。

未だ6歳であることを考えれば、それだけの理由を作っても異常なことには変わりないが、毛利侵攻まで後11年であり、義久が政治に関われる年齢を考慮すれば多少の無理は仕方ないと言える。

「それで、今日は何をするんですか。義久さま」

「今日は剣術の稽古をしようと思っているんだが……小鹿も一緒なのは決まっているのか」

当然ですと胸を張る小鹿に、義久は親が子供に向けるような苦笑をする。

「むぅ、また子供扱いしてますね」

「そんなことないさ。ただ、小鹿が小さくて可愛いと思ってな」

そう言って、義久は目の前にある旋毛まで見える頭にポンと手を置き、髪を梳くように撫でる。

「ちっちゃいって言わないで下さい!もう……」

小さいと言われていることは嫌だが、撫でられること自体は嬉しいらしく、小鹿は複雑な表情を浮かべる。

「そう拗ねるな。鹿せんべぇ食べるか?」

「はいっ!……あ」

迫るタイムリミットに焦る義久ではあったが、しっかりとこの世界を生きることを楽しんでいるのは間違いない。
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