「よーし、点呼とるぞぉ。番号。」
「いち。」
「よお゛し。今日も居るな。んじゃ解散だ。」
「ん。」
毎日9時と21時。スクアーロによる点呼の時間。
私がここにやって来てから毎日行われるこれは私のためだけにある。
点呼の後はアジトの敷地から出なければ自由。庭に出ようとベランダに出ようと屋根に上ろうと特に問題は無い。
「おっはよ。」
「おはよう、ベル。」
だけど私は談話室と自室以外にあまり行ったことは無い。特に用事もないから行く必要が無い。
「なーなー、俺今日休みなんだ。ゲームしようぜ!!」
忘れてた。この人の部屋にはよく連行されていたんだった。
なんだろう、よくゲームに誘われる。トランプだったりオセロだったりテレビゲームだったり、ベルの気分だけが決定権を持っている。
「何するの?」
「wii。」
「あれは実際何もないのにテニスやってる気になってる自分を想像すると悲しくなるから嫌だ。」
「なに?王子の言うことに文句あんの?」
「まあ…」
これのたびに少し反抗してみるけど結局ベルのやりたいものをやることになる。なぜなら、
「このまま切っちゃうぜ?」
いつもナイフが右脇腹に当てられるから。
「……。」
「しししっ!」
ペチペチとナイフを当てられるともうそのまま立ってベルの部屋に行くことにした。そうすると満足そうにベルが後から追ってくるという様子は両手両足では数えきれない。
「お前も素直じゃないよなー。」
「…暇だから。」
「うししっ、よく言うぜ。いつも暇だろ?だってお前、
人質じゃん。」
そう、私は人質で間違いない。