非凡はお呼びじゃないですよ。(仮)

□もじゃもじゃってなんか可愛いくないですか。
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俺、日向藍(ひゅうがらん)が通う小鳥遊学園(たかなしがくえん)ははっきり言っておかしい。


金持ちばかりが通うこの学園は、広い土地の確保のためか、はたまたセキュリティのためか、A県郊外の山奥に位置する。
一番近い駅からは車でも1時間かかるそんな場所に外から毎日通学するなんて、いったい何時に起きなければいけないんだ…!!
ということになるので、学園には寮がある。強制ではないが、通学に何時間もかけようとする奴はいないので、必然と全寮制のようになっている。


定番といったら定番だが、この学園は男子校だ。
思春期真っ正中な男共を、そんな閉鎖的で同性しかいない場所に閉じ込めたら、どうなるか。
そういう対象が同性に向く。
まあ、そういう訳でこの学園はかなりの割合がゲイ・バイに占められていた。


しかし、相手はより見目が良いほうがいい。それは普通の性癖を持った人と同じようだった。
ただ、そこはやはりおかしいこの小鳥遊学園。
その感情による行動が異常だった。


容姿が整った者には『親衛隊』というファンクラブのようなものができる。
親衛隊は、その対象を崇敬し、むやみに対象に近づくような輩には制裁という名の陰湿ないじめを行うのだ。
『抱きたい・抱かれたランキング』などというものも存在するのだが、その上位になる者たちの親衛隊は特に過激だった。


そんな沢山の異常を当たり前として受け入れ、当然のように過ごす者ばかりのこの学園に、編入してくる人がいるというので、
俺は心底同情していた。


この小鳥遊学園はこんなにもおかしな所でありながら、有名な進学校だった。
金持ちであるがゆえ、将来高い地位につであろう人が多くいるこの学園は、必然ととても頭の良い学校になった。
金持ちしか入学できないという訳でもないし、編入試験も比較的多く行なわれているほうだ。
しかし、編入試験はとても難しいものらしく、外部生はとても少ない。


外部生というだけでもとても注目されるのに、この学園の風習をみたら、きっと精神的な苦痛は半端ないだろう。


それを考えて俺は更に同情した。


運が良いのか悪いのか、俺はその外部生の同室になるらしい。


この学園はまがりなりにも進学校なので勉学に優れるものは結構優遇されている。
そのため学年主席である俺は、本来二人部屋のところを一人で使っていた。
ところが、外部生のための空き部屋がなかったらしく、彼と同室になってくれないか。というお願いをされた。
部屋は十分すぎるほど広かったし、一人部屋であることにこだわってはいなかったので、二つ返事で俺はOKをだした。


今思うとあの時断わっていればこんなことにはならなかったのに。そう思う。


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