text (その他)

□嘘つきはどっち?
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 「あたしな、平次んこと、ずっと好きやってん」

 平次は目ぇまん丸にして、わたしを見とった。それから、わたしの視線の先を見て、まん丸に開いとった目をいつもの大きさに戻した。

 「…ほーか」

 返ってきたんは気のない返事。わたしは構わず、リップでピカピカ光る唇を動かした。

 「ずっと、ずっと好きやったんよ?」

 「平次の、事件解決した時の、キラキラした顔が好きやってん」

 「ちっちゃい頃から、夢は平次のお嫁さんだったんやで」

 「なぁ、平次。わたしをお嫁さんにしてくれる?」

 求愛の言葉を連ねるわたしの目も、黙って聞いとる平次の目も、映すもんはいっしょ。4と1の数字。カレンダーの4月1日。

 「…かわいくない女やのー」

 不機嫌まるだしの平次の声に、わたしはにっこり笑顔をつくる。

 「わたし、そないにかわいくない?」
 「…いや、めちゃくちゃかわええ」

 ほーか。平次の真似して答えたら、不意に左手首を掴まれた。そのまま引っ張られて、いやでも平次と向き合うかたちになる。

 「…かわいくてかわいくて、仕方ないわ」

 わたしの目の前には平次。平次の目の前にはわたし。わたしと平次の間には、平次の手に掴まれたわたしの手。わたしの左手薬指には、キラリと光る、ダイアモンド。

 「…なぁ、平次。わたしを、お嫁さんにしてぇな…」
 「……いやや」

 素直やね。ああ、素直やないの間違いか。

 「…わたし、このままやったら幸せになれへんねん…」

 「平次やないと、あかんねん…」

 「平次が、ええねん…」

 涙の訴えがなんの意味も持たんこと、よう解っとるよ。でも、止められへんねん。ごめんな。

 「…おれは、ずっとお前を幼なじみやと思っとった」

 平次は苦しそうに囁いた。その言葉に、また一粒、目から雫が零れる。

 「好きなんて思たこと、一度もあらへん」

 お前なんて、大嫌いや。

 そう言って抱き締められたから、わたしは大好きって言い返した。


 わたしはもうすぐ違う人のもんになるから。実らなかった初恋に、終止符打たなあかんかったから。もう素直な気持ち、伝えられへんから。

 だから選んだ4月1日。

 わたしの初恋も素直な気持ちも、全部ウソになってまえ。そう思っとったんよ。ごめんな、わたしの恋心。


 平次の肩ごしに時計を見たら、4月1日とはあと5分でお別れやった。

 大っ嫌い。大っ嫌い。大っ嫌い。

 素直なわたしに与えられた、残り5分のタイムリミット。アホなわたしは、大っ嫌いを心ん中でいっぱい繰り返して、その残り時間を使いきってしもた。















《嘘つきはどっち?》
あんたが大嫌いって言うたんびに
わたしは大好きって言い返した



















平和大好きです!平和!!
ケンカップルでほのぼの〜な2人が好き
なのになんでこんな話!?



"幼なじみ"から最後まで抜け出せなかった2人の話。

または、エイプリルフールに嘘を吐いて本心を言う平次と、エイプリルフールに本心を言って嘘を吐く和葉の、嘘吐きな2人の話。

説明ないと分かりにくい話、とも言う

これでもハッピーエンド主義なんですよ?


大阪弁、もっと勉強しなきゃなぁ…

エイプリルフールだいぶ過ぎちゃってるけど、そこはまだ4月中ということで多めにみて下さい(^^;;
エイプリルフールは午前中しか有効じゃないっていうのも、今回は目をつぶって…


次はキュンキュンする話が書きたいです^^







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