text (ES21)
□Do you kill me...?
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「…ねぇ、知ってる?心臓ってね…」
私を捕らえる鋭い瞳が、私の言葉に、ゆらりと揺れた。
先を促す無言の視線に、遠のく意識をなんとか保ちながら、次の言葉を一生懸命かき集めて口から零す。
「…心臓って…、脈を打つ回数が、生まれた時から決まっているんだって……」
要するにそれは、脈を打つ度死が近づくって事でしょ?
「……へぇ」
ニヤリ、あなたはあの、何時もの不適な笑みを浮かべる。あなたの長くてきれいな指が私の後ろ髪を弄んだ。
「で?お前はそれを俺に伝えて、何がしたかったんだ」
「…別に。ただ、知っておいてほしかったの。…もしもの時のために」
あなたは目を細めて私を睨む。
「…無駄だな」
「…なにが?」
「時間稼ぎにもなりゃしねぇ…」
視界に広がるのは、綺麗な金髪越しの鋭い瞳。鼻腔をくすぐるのは、あなたの吐息、ミントの香り。鼓膜を震わすのは、あなたの掠れたテノールボイス。
全てがあなたに浸食された私が、唯一自分のもので確認できるのは、全身に響いて加速をやめない、死の階段を登る音。
「……だからといって、死を早める事もないわ」
「往生際の悪いヤツ」
「命は大切に扱わなくちゃ…」
「少し黙れ」
顎を掴まれ上を向かされる。あなたとの距離はほんの3センチ。とっても危険なこの距離は、私の寿命の長さの象徴。
「いい加減諦めろ」
距離がゼロになる。死が近づく音が、よりいっそう大きく響いた。
ねぇ、もし私が死んじゃったら、それは全部あなたのせいよ。
《Do you kill me...?》
脈打つハート
それは死へのカウントダウン?
ありがちネタ
分かりにくいですね
スミマセン
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