[新撃]ゆめみち

□コンセント
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朝、起きた時にはもう隣にユリはいなかった

スリッパを履いてキッチンに行くとローブから部屋着に着替えたユリが朝ごはんを作っている。

ここだけ見れば夫婦なんだがな…。

「リヴァイおはよ!」

「…あぁ。」

「ははっ!まだ寝ぼけてる?早く顔洗ってきたら?もう朝ごはんできるからね!」

ユリは俺を友達としか思ってないんだろう
情けねぇな、俺。

「あ、パンかご飯どっちがいい?」

「…ご飯。」

「流石!やっぱ日本にきたらお米だよ!」

ちなみにユリは日本語が話せないわけじゃない
でも俺から言わせてみれば少し片言だな

顔を洗って食卓につくともうしっかり身支度を済ませていたユリは美味しそうとでもいうように手を合わせる

「今日は結んだのか?」

そういってユリの髪を見た。

「え?これの事?似合う?日本の雑誌に載ってたから練習したの!日本語で『ポニーテール』って言うんだよ!」

「馬じゃねぇか。」

「はは!Japanese Englishって面白いよね!」

「和製英語だ。」

「わせいえいご?」

「あぁ。」

「ふふっ、じゃあ手を合わせてください…いただきます。」




登校するときは着くまでひたすら会話だ。

「リヴァイ今日の朝ごはんは美味しかった!?」

「あぁ、前よりはよくなったな。」

「本当?『オミソシル』美味しかった?」

「あぁ。」

「でもやっぱリヴァイが作った方が美味しいんだよね〜。」

「自分でテンション下げるな。俺まで下がるだろ。」

「リヴァイは優しいね、今日も頑張ろうね!」


そんなこと言っていると直ぐに学校につく


「宿題出来た?」

「出来た。ちゃんとやったか?」

「まぁね!リヴァイはなんでも出来るから悔しいな!私も頑張るよ!」

そう言って教室に向かう。


幸せだ。


「あ!ペトラさん達おはようございます!」

「達じゃねぇよ、めんどくさがらず俺らの名前も呼べよ。」

「仕方ないでしょ?ユリは私の事が好きなんだから!」

文句をつけるオルオにペトラは胸を張って答えた
生まれ変わってこいつら変わったな…
前よりも元気でガキだ

ただ元気がなくなったのはハンジだ

「ハンジさんどうしたんですか?」

「…はぁ。」

こうやって時々、思い出したようにため息をつく
ちなみにこの4人と違ってハンジは前世の記憶がある

まぁ…確かにそんな風になるだろう
ハンジだもんな

「巨人が…いない…。」

「前から言ってましたよね。どうすればいいんだろ…そうだ!ハンジさん『トウキョウ』の『ガガヤクカン』に行きましょう!」

「カガヤクカン??」

「ユリ科学館だ。」

「『カガクカン』?」

「科学館ってなに?」

「宇宙です!宇宙見に行きましょ!」

「いつー?」

「え?えぇっと…明日!!」

「金曜日、学校だろうが。」

「明後日!」



そう言えば今日、通学途中で通りかかったバスに科学館の広告が貼ってあったな
確かUMAの展示だった気がする。

なるほどな。

「ねー!?行ってもいいよね!?リヴァイ!」

「いいんじゃねぇか?」

「ほら!ハンジさん!行きましょうね!」


ユリとハンジの会話を見ていたらペトラが俺に話掛けてきた


「リヴァイさん交換留学生の付き添いで先生が到着しました。」

「…俺が行こう。」

(ユリの記憶が戻った時ペトラを見たら大喜びするんだろうな。)

ペトラを見るといつも思う。


__________________


「エルヴィン!」

「リヴァイ?!」

思わず名前を呼ぶと向こうも驚いた様に俺の名前を呼んだ

ペトラの報告を聞いて、応接室に行けば昔から知っている顔があった

「リヴァイあの学校の生徒だったのか!?」

「お前こそ学校で見かけなかったぞ。」

「お前はあの学校をほとんど休んでるらしいじゃないか、だからだろ?」

そう言えばそうだ
仕事をしながらユリのいる学校に通っている。

「ユリは何も言わなかったんだが。」

「あぁ、ユリのクラスは何も担当してないからな。」

「だから話しかけなかったのか?」

「話しかけようと思って見てたらどうやら記憶がないみたいだ…。」

「当たってる。」

「リヴァイきついだろ?」

そう言ってエルヴィンは苦し笑いを浮かべるが、正直俺は笑う余裕がない位きつい状況だ。

「笑い事じゃねぇ。」

「悪いな〜。まぁもう一回惚れさせればいいだけだ!」


そう言っていた頃ユリは…


「ユリちゃん可愛い!」

「もう人形じゃん!」

「俺?呼んだか?」

「呼んでねーよ。」


女子から人気があった。


「そう…かな?」

「照れてるー!ねぇ見て!照れてるー!」

「でもリヴァイ様もかっこいいよね〜。」

「リヴァイ様かっこいい〜。」

「かっこいいね〜…リヴァイ様って?」

周りの子に釣られて思わず本音を口にしたが、周りの子が言う『リヴァイ様』で目を覚ましたように瞬きをした。

「そう思わない?リヴァイ様様だよ〜。すっごくかっこいい。」

「…。」

ユリは机に肘をついてリヴァイの座る隣の机を見た

「確かに。」

ボソッと呟いた


「リヴァイ様のこと好きなの?」

「…うーん、わかんない。でもリヴァイって攻略難しそう…。」

そこで取り囲む女子がみんな笑う

「間違いない!ユリちゃんもそう思うんだ!」

「あっ!いや!攻略しようとは思わないけど、難しそうってだけで!」

「してみなよ!」

「え?」

「攻略。」

特にユリと仲良くする女の子がにやけた
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