[新撃]ゆめみち

□あなただから
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「リヴァイ?」

「…ん?」

「どーしたの?」

俺の手を握ってポンポンとたたくユリの手を握り返した

「リヴァイ明日お仕事ある?」

「ない、明日は俺が起こしてやる。」

「へへっ、やったー!」




昨日は買い物で歩き回った二人は死んだ様に眠った

次の日リヴァイは9時に起きる

起きて顔を洗い歯を磨いてからエプロンをつけて朝食の準備をする

こっそりユリの部屋に入る

ユリはリヴァイがベッドに座っても起きないくらい爆睡しているからリヴァイは暫くユリの寝顔を見ていた


「…。」

不意にエプロンのポケットからケータイを出し


パシャ


写真を撮る


(新しい待ち受けにするか。)


「り?ぁ〜。」

小さい声で呼ぶ

「ん?」

リヴァイがそれに反応してユリの頬を撫でる

「おはよぉ〜。」

「そういえば〜…来週パーティーがあるってハガキにぃ〜。」

寝ぼけ眼でユリはうつ伏せ状態から上半身だけ起き上がり、ベッドサイドテーブルの引き出しを指指す

「これか?」

そう言ってリヴァイは引き出しを開け、赤い封筒を出した


「今度は俺の親父か。」

「リヴァイパパは素敵な人だね。リヴァイパパの考えるパーティーはとっても素敵だよ。」

「あぁ、言っておく。」


リヴァイはユリの頭を撫でた


「お前今日は暇だろ。俺はボビンと会う予定だ…留守は任せたぞ。」

「うん、そういえばそうだったね。」

そう言ってやっと起き上がり、座りながら背伸びをした

「ん〜!」

「朝ごはんできてるからな。」

「あ〜パーティードレス買ってよかったー!」

「そうだな。」

「リヴァイおんぶー!」

「歩け。」

そう言ってリヴァイはユリがベッドから離れるのを待った

「わかったよー行くよー。」


_______________________



リヴァイはYシャツにスキニーというラフな格好でボビンが指定した喫茶店に来た

カランーーー

「いらっしゃいませ。」

(あら、かっこいい。)

店員は出てくるなりリヴァイを見て目を輝かせた

「ボビンと待ち合わせしている。」

「あぁ、はい。あちらの席でお待ちです。」

そう言って案内されたのはドアから離れたVIPルームみたいな所だ

「あの…。」

「なんだ。」


「そ!それではこちらです!ごゆっくり…。」

ドアを開けられ、中に入る

(ただの喫茶店にVIPルームなんてつけるか?)


「リヴァイよく来たわね〜。」

「本当にここは喫茶店か?」

「そう、あたしの秘密基地。ここに私専用の部屋をつけてもらったの〜。」

「…やるじゃねぇか。」

「ありがと。」

そして話はユリの記憶に入る
リヴァイは3人掛けソファーで足を組み、考え込む

「ユリに記憶がない。何かが邪魔をしているはずだ…何だと思う。」


「困ったわね…。」


その時


「ヤッホー!おっじゃまっしまーす!」

ハンジがやってきた

「おい、お前が呼んだのか。」

「二人だけで解決出来る問題でもないのよ。」

ボビンは全てを見透かしていた
というよりリヴァイの事情とハンジの事情を知っていたのだ

ハンジはボビン側の3人掛けソファーに腰を下ろし
笑った

「リヴァイ…観念して全部話や方が効率がいい。

ユリの話を洗いざらい話すんだ。」

「……いいだろう。誰にも言うんじゃねぇぞ。」

「いい心掛けよ。」

リヴァイはコーヒーを一口飲み話し始めた

「何処から聞きたい。」

「そうだなぁ〜ユリと過去に関連しているところとリヴァイが私達に隠すことを決めた経緯…それ以降はなんとか繋げてよ。」

「注文が多いな。

…俺が前の記憶が思い出したのは10歳の時だ。
ユリとは赤ん坊の時から一緒だった。
塾も幼稚園もだ。
ただユリは11歳になっても15歳になっても思い出さねぇ。

色んな話をしても、それとなく伝えてみても効果は0に近い。

だが、ただ一つ
ユリが思い出せる方法がなきにしもあらずだ。」

「あんた達なんで付き合わな…ごめんなさいね、続けて。」

「…夢だ。」

「夢?」

ハンジが聞き返すとリヴァイは考え込むように腕を組んだ

「ユリが初めて壁外に出た第57回壁外調査だ。」

「!?」

ボビンとハンジは息を飲んだ

「たまに怖い夢を見たって言って俺のベッドに入ってくるんだ。」

「ユリはその夢を覚えてるの?」

「あぁ、たまに思い出しては話す。」

「ユリにとって強烈な思い出だね。」

「でもやっぱり思い出させたくないわ。」

「ボビン、どーして?」

ハンジが尋ねるとボビンは少し考え込み、口を開いた

「リヴァイ…聞く覚悟はある?

もしあたしがここで話してあなたが思い出すのなら、あなたは今のあなたよりずっとユリを求めてしまうかもしれないわ…

いい意味でも悪い意味でもよ。」

「……。」

リヴァイは腕を組んだまま沈黙した
待つしかないと思ったボビンとハンジは黙って紅茶を飲む



「リヴァイにも詳しい話はしてなかったけど…

あの子はお腹の中の赤ちゃんと一緒に死んだわ

調査兵団の目の前で…。」



「…。」



「あの子のファンに撃ち殺されたわ。」


「……。」


リヴァイはいまいちピンとこなかったような顔をした

「まぁ無理もないわよね、今は生きているんだから。」

そう言ってボビンは苦笑いをした

「それはユリの男嫌いと関係あるか?」




「「え?」」



初めて公開された真実だった




今のユリは男嫌いだった
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