[ワンピース] ユメミチ

□かいぐんしょうこう
2ページ/7ページ

僕が片想いしているユリさんに会えるのは週一程

それはお休みの日だ
いつも景色がいい丘の上で待ち合わせをしてそこでずっと話したり遊んだりしている
ユリさんも働いているらしく、会う時はエプロンをつけていたことがほとんどだった

僕が忙しい時は会えなかったが、良い時はユリさんが作ったお弁当が食べれた

のんびりと生きてる彼女は一体どんな仕事をしているのだろう

「ユリさんはどんな仕事をしてるんですか?」

「え?…知りたい?」

「は、はい!」

「そのうち分かるよ!」

「え?」

「本当にそのうち分かるよ。」

「本当に…ですか?」

「本当だよ?」






本当にそのうちだった
二週間後、丘の上に来たユリは僕を見るなり腕を組んで考える顔をした

「どうしたの?」

あの時はちょっと不安になった

「コビー!うちにおいでよ!」

・・・・・。

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

ユリさんの家にですか!?」

僕の顔は全身の血が集まったように真っ赤になる
なんだか恥ずかしくて仕方なかった
嬉しかったけどね…
とにかくその時はとても恥ずかしかったのをよく覚えている
何でだろ?

「シャツのボタンがもうゆるゆるだもん。明日の朝ぐらいにボタン無くすかな〜だから直してあげる!」

「あ、あぁ…ありがとう…ございます…もしかして…服に関係してる仕事ですか?」

「当たり〜私を置いてくれてるおじさんが洋服作ってるんだ〜作業服ばっかりだけどね!」

その時、ふと考えた
僕が昇格したら異動があるはず、そうしたらユリとはどうなるんだろう

離れ離れになるのかな

「ユリさん。」

「ん?」

「僕は、海軍将校になるのが夢です。」

「そう、じゃあ頑張らなきゃね!じゃあ私は歌手になりたいな〜。」

「…そうですか


……お互い頑張りましょうね。」


完全にタイミングを逃したな


「なんか段々ロマンチックになっていってるね。」


ユリはそう言って笑うけど、僕は上手く笑えない
タイミングを逃しただけだから…
恥ずかしい


たしかにそんなこともあったな…
まぁ、そんな悲しいことばかりって訳でもないんだけどね



今は最初の三等兵の頃と比べて仲も良いし、ユリさんもいつも通り僕に接してくれる
ただ僕がガープ中将にであって海軍本部に配属したから最近はもうぱったり会うこともなくなって、その代わりに週2、3くらいの頻度で夜にでんでん虫で話す


今も通話中


「ねぇ聞いて!最近街で子どもたちが声をかけてくれるの!」

「子ども達が?何かしたんですか?」

「この前子ども達と歌いながら凧揚げをしたんだ!その歌をとっても気に入ってくれたみたいなの!」

「ははっ!ユリさんらしいですね。凧揚げって。」

「ちょっと、何が言いたいの?」

「元気で何よりです。」

「もう、バカにしちゃって!」

「ははは!どんな歌なんですか?」

「いつか聞かせてあげる。」

「今歌ってくださいよ。」

「いやよ恥ずかしい。」

「じゃあまた今度聞かせてくださいね?」

「いいよ〜!」

「あ…そういえば今、あなたのいる島に人の姿を消す『ケシケシの実』が入ってきたっていう情報が入ってきたんです。」

「それって海賊がいるってこと?」

「恐らく…ユリさん、気をつけてくださいね。」

「分かった。コビーも気をつけてね。」

「ははっ!僕は大丈夫ですよ。」

「ふあ〜。じゃあもう寝るから切るね?お仕事頑張ってください!」

「ありがとうございます。じゃあおやすみなさい。」


『ガチャ』


でんでん虫が目を閉じた瞬間
後ろから声が聞こえた


「コビー!」

「また彼女と電話かー!?」

「か!彼女じゃないです!…まだ。」

毎回ヘルメッポにからかわれる
否定する度に悲しくなるほど…

「まだ告白出来てないのかぁ〜!?」

「でもどっちみち遠距離ですから。」

「なに弱気になってんだよ!」

「どうもこういうことは苦手でして…。」

「頑張れよ!応援してるからよ。」

「はぁ…。」


僕はユリによく似たでんでん虫(笑)を見て少し和んだ
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ