[REBORN] Dream Road
□怒りの一撃
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「団長。」
「なによ。私はもう団長じゃないわよ。」
「団長…。」
「貴方までなによ、団長じゃないってば。」
卒業式の帰り道、ゆりとゆりの側にいままで仕え続けた5人の幹部はそういうやりとりをし続ける
まるで何かを言いたそうにゆりの一歩後ろを歩き、彼女の背中をただただ眺めて
すると幹部の一人が息を震わせて静かに言った
「あんた…マフィアのとこに嫁ぐって本当ですか?」
やっとその言葉が出た瞬間彼らは呼吸を忘れたように静まり返ってゆりを不安気な眼差しで見つめたが、ゆりはそんな事を気にする素振りも見せずただただ優雅に歩き続けた
「なに、もしかして心配してくれてるの?」
「当たり前じゃないですか!!!!!」
「マフィアなんて何するか分かんねえ!!そんなとこにあんたをやるなんて勿体なすぎる!!!」
「あんたはそんなことの為に俺たちの上に立ったんじゃねえ!!」
「なぁ!団長!!考え直してくれ!!!これじゃあまるで……。」
「まるで…何よ。」
ヒヤリとした空気がゆりの周りを囲み、その冷めた目にさっきまで色々言っていた幹部が押し黙った
そして最後の一人が口を開き力ずよく発する
「あんたぁ…捨て駒みてえだ。」
とうとう言った
幹部達が思っていたことが最も酷い言い方で表に出てしまった
「やっぱみんなは優しいね。」
「団長…あんたはそれで満足するような女じゃねえだろ??どうせ政府はあんたを外に追いやったことを後悔するぜ。」
「よく分かってるじゃない。」
「っ!?じゃあなんで!?!?」
ゆりは今まで通りに軽く笑った
「私ならいつでもどうにでも出来るし、気に入らなかったらまたここに帰ってくるよ。」
その言葉に全員が少なからず安心した
「あんた以外に俺たちの上なんて要らねえよ。」
「でしょ?」
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政府は不機嫌だった
会議室に何人もの男たちが定位位置に座り、低い声で室内の人間を押しつぶすように話す
議題は雲仙団団長の今後についてだ
「ゆりは力を持ちすぎた…私たちが彼女に与え過ぎてしまったのだ。」
「彼女に付き従う者は多くいる…変な事をすれば直ぐにでも反乱が起こるだろう。」
「それは我々にとっても決してよくはない。」
「もう用済みだ、早急な処理を。」
「日本に置いておくにはまずい。」
「ではどこに置く。」
「アメリカのスラム街はどうだ。」
「彼女なら押さえつけることなど簡単だ。」
するとある男が憎たらしい笑みを浮かべて小さく手を挙げた
「こちらで引き取ろう。」
その男は政府御用達の地下通路と言われるような、要は『裏』の人間だ
「イタリアのあるファミリーが"嫁"を探していてな。」
彼は詳細を述べ、会議は幕を閉じた
「では、よろしくお願いします。」