[進撃]ゆめみち
□愛の扉
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壮絶だった。
殺伐とした静かなトロスト区で、フラフラと歩く巨人を避けて私達は行動し、先輩は慣れた様にワイヤーを操る。
その時、私の目の前に現れた女型巨人
女型は私を見た瞬間、私に向かって手を伸ばした。
「え?!」
私は馬で避けて避けてとにかく逃げ回る。
「やめろ!!」
先輩だ。
勢いよくうなじに斬りかかった先輩はワイヤーを巨人に捕まれ、地面に叩きつけられる。
「やだ!!」
もう形もないくらいぐちゃぐちゃになった先輩を私は見てしまった。
「ユリ走り続けろ!!俺達では倒せない!!」
もう一人の先輩が私に叫び、私は泣きそうになりながら逃げる。
「はぁ、はぁ。」
女型巨人を見た瞬間、勝てるわけがないと思った。
前の自分はこんなんだっただろうか?
こんな泣きじゃくって逃げる女なの?
敵にやすやすと背中を?
私は誰?
私は絵描き?
私は乙女?
いいや、違う。
私は刃を装着した。
走る馬の頭を撫でてキスをする
「すぐ戻るからね。」
「おい!何してる!」
私は一体…
ワイヤを発射した。