[進撃]ゆめみち

□ありがとう、またね。
2ページ/8ページ

「アルミン…あたしがあんたのいい人でよかったね。」

全て調査兵団が様子を伺うこの時間はみんなにとってとても窮屈だった。
何せアニが何をしでかすのか分からなかったからだ。



________________


〈 足音ですら大きく聞こえる静かな静かなストヘス区の小道にある、地下へ続く階段の目の前に目標が立ち尽くしていた。 〉

「ひとまずあんたは賭けに勝った…

でも、あたしが賭けたのはここからだから!!」


バァァァァン


信煙弾が上がるのを遠くで見た私は作戦遂行と同時に、私の最後の任務が開始される。

「リヴァイ…。」

「あぁ…。」

その瞬間、恐らくアニ・レオンハートがいるであろう地点に雷が落ち、それは巨人化したことを悟ることとなり、私はミカサに言った事を思い出した。


「ミカサ、ミカサはきっとこの3人の中でも臨機応変で冷静だから言うね。」

「えぇ。」

ミカサは一層真面目な顔つきになり、私を見つめる。

「この一次捕獲はとても難しいと思うの。相手は自分が巨人であることを知っていながら兵士になっている、しかもその能力をエレンより自由に操ることが出来る。つまりアニは裏の裏まで読んでると思う。だから…。


気をつけて。


ちゃんと人に頼るのよ?」

「分かった…ねぇ、ユリ…私って冷酷?」

ミカサが落ち込んだように少し俯いたので、私はコツンと額を合わせた。


「ミカサの判断はいつも正しいよ。いつでも中立的で人に押し付けることもなく客観的に物事が見れるから素敵な事だと思う。」

「……それもそうね。」




ミカサは大丈夫かな…エレンはしっかりしてるかな…アルミンは無事かな…

そう考えていると何も知らない憲兵団が騒ぎたて始める。

「何があったんだ…護衛班!ここはいい!状況を見て来い!」

すると屋根の上にいた男が「はい!」と叫び、仲間と移動していった。

「妙だな…さっきの爆発のような音といい…。」

「ナイル。」

読んだのはエルヴィン団長だ。
ナイルはその声に振り返る。

「すぐに自衛兵を派兵しろ。巨人が出現したと考えるべきだ。」

「何を言っている!ここはウォール・シーナだぞ!巨人など、現れる訳がない!」

すると、エレンが乗っているはずの後ろの馬車から誰かが飛び出してきた。

「待て!動くなイェーガー!」

あれは憲兵団だ。

「変装ごっこはもう終わりだ!!」

そう言ってカツラを取るジャンに、本日一番の驚きという顔を見せる憲兵団は、情けなく「あ ぁ!」と叫ぶ。

またいつかドッキリをしたい。

ジャンはドッキリの成功が嬉しかったのか
「二度とその名前で呼ぶなよ馬鹿野郎!」
と吐き捨てて団長の元に向かい言った。

「団長!俺も行きます!」

「装備は第四班から受け取れ。」

「了解。」

それを見たリヴァイは釘を刺すように言う。

「威勢がいいのはいいが、死なねぇ工夫は忘れんな。」

「はい。」

ジャンは力強い返事をし、その場を離れた。

「エルヴィン!!あれはどういう…。」

「団長!これを!」

調査兵団が持ってきたのはスーツケースに入ったエルヴィン用立体機動装置。
「ご苦労。」
だんちょうはそれを素早く身につけ、姿勢を正した。


「おい、エルヴィン!」

「動けるものは全員続け!女型捕獲班に合流する!」

憲兵団団長が呼び止めるのも聞かずに淡々と指示を出す団長はやはり経験値が高いと思う。

憲兵団相手の作戦どうりにいっている…どうかエレン達は無事でいて…。

そしてリヴァイは私がプレゼントした服を着ている。

それだけで十分満足だ。
リヴァイが気に入って
そんなこんなで私もいこうかな。と思い始めた時


「エルヴィン、待て!!」

憲兵団が一気に団長に銃口を向けた。

私は思わずエルヴィン団長の元に行き、片方の刃を出して、憲兵団団長に向ける。

すると、後ろにいた憲兵の中の二人が私に銃口を向けるので、更にもう一本刃を出してその子達に向けた。

「邪魔をするのか。」

「バネッサでもこんなことしない。」

「だまれ!貴様等のやっていることは、王政に対する明らかな反逆行為だ!」

その言葉にリヴァイがすぐさま反応した。
私は微動だにすることなく、憲兵とその団長を交互に見る。

「ナイル、てめぇの脳みそはその薄らヒゲみてにスカスカか?何が起きてるかもわからねぇらしいな。」

「装備を外せ!!エルヴィン!!」

どうやらこの人は自分が間違った事をしてると思いたくない人だ。
団長と呼ばれるとそれだけ調子に乗ってしまうから仕方がない。
学校でいう『先生』同じだ。

この空間に緊張感が生まれる。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ