ΕΛΟΓ (エボル)

□【secret matter.】
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NEOの最高機密研究所の一つで若い男性研究員が、頭を抱えていた。

「もう嫌だ…もう見たくない…」

男はそう呟きながら小刻みに震えている。
しかし、周りにいる研究員は見向きもしなかった。

「気を確かに保つんだ。イヴァン君」

そう男に声を掛けたのは研究所の博士の一人、アトラス博士だ。

「博士…でも、もう嫌なんです…人造の人間を造るなんて…」

そうNEOでは今、人工的に人間を造る研究をしている。
しかし、人間の遺伝子からではない…

「イヴァン君、彼等は感情なんて持っていない…只の人形だ…」

「でも博士…彼等は分裂する時は叫んでいます…それは、痛いと感じているから叫んでいるんですよね…?」

「君の気持ちは良く解るよ。彼等の分裂時は余りにも…グロテスクだ。だが、人間の繁栄には彼等が必要なんだよ?解るかい?」

「ウイルスから造られた人間は人間じゃない!!」

そうイヴァンが叫び終えた瞬間、全身を保護服に包んだ人達が現れた。

「イヴァン・クレイナム研究員。貴方は大分、精神的ストレスを感じて辛くなった様なので[解放]の許可が降りました。さぁ、此方に腰掛けて下さい」

保護服の人間は車椅子を指差しながら話した。

「うぅ…う…」

「おや、自力で歩く事も辛い様ですね。お手をお貸し致しましょう」

手馴れた様子で保護服の人達はイヴァンを座らせると、同じ保護服を着た一人を残して研究室から出て行った。
残った保護服の人は仲間が完全に出て行くのを見ると話し出した。

「アトラス博士、本日17時より社長直々の重要会議が第七会議室で開かれます」

「分かりました。ご足労有難う御座いました」

アトラスは少し皮肉を込めて保護服の人に言った。
しかし、保護服の人は言い返す訳でもなく研究室を出て行った。

「相変わらず嫌な奴等ですね」

研究室の扉が閉まったのを見ると、一人の男性研究員がアトラスに話しかけてきた。

「なんて言うか…一言で言うと機械的」

そしてそれに便乗して女性研究員も話しに加わった。

「エネガン、イリヴェラ。確かに嫌な奴等だ顔も見せないし…案外、本当に機械かもな」

「それにしても…上の人間は引くだけで足す事を知らないのかね?これで人造人間の成長科は僕達三人だけになってしまったよ」

「ますます自由の時間が無くなったわね」

ハァ、とイリヴェラが溜息を吐いた。

「エネガン、イリヴェラ」

「はい、博士」

「はい?博士?」

呼ばれて二人は返事をした。

「聞いていたと思うが今日、私は重要会議に呼ばれた。もしもの時の事を考えて会議室の監視をハッキングしておいてくれ」

「はい。承知しました」

「分かりました」

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