―死神の休息―

□拍手小説1
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いつもの様にレイは、部屋で一人で寛ぎながらお茶をしていた。



「Ciao.レイ」

『っ、…リボーン、どうして此処に居るのよ』

「決まってんだろ。愛しい女に会いに来たんだ」



不意に声を掛けられ、不覚にも内心少しだけ驚いてしまったレイは、声の主のリボーンを見上げながら素っ気なく言った。



『私は貴方の女じゃないわ。……ましてや、"愛しい"なんて他の愛人に言ってあげなさいよ』

「相変わらずつれねぇな。まぁ、そんな所もレイの良い所だがな」



ニヒルに笑いながら言ったリボーンは、レイの隣の席に座った。



『…はぁ、…エスプレッソで良いわね?』

「嗚呼、Grazie.」



音を立てずに立ち上がったレイは、リボーンにエスプレッソを淹れる為にキッチンへと向かった。

そんなレイの後ろ姿を見ながら、リボーンは密かに自分の為だけにエスプレッソを淹れてくれるレイを、愛おしいと思って居るのだった。





「……(愛しいお前がいつも、俺の為にエスプレッソを用意してくれるから、俺は通うんだ)」



一人、そんな事を思って居たリボーンは、カップを片手に戻って来たレイを見て微かに口角を上げていた。



『…どうかしたの、リボーン?』

「いいや。何でもねぇぞ」



カチャリと音を立て、置かれたカップから漂うエスプレッソの香りを嗅いでリボーンは、明日も来ようと思うのだった。





いつもの午後に




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