メッシスで行こう!

□捕獲
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【フロエの日記】
二万年前にも私たちと見た目は変わらない人間がいて、もっと優れた文明があったって…信じられる?
私たちコール・テンペストが辺境警備のボロ船メッシスへ左遷されて一ヶ月。中央大聖廟の命令で、近くで新しく発見された遺跡を調査することになったんだけど…
「この村に何か御用ですか?」
この子はアーシュラ。私たちのシムーンよりずっと高性能で“死霊”の名をもつウンブラ・シムーン、金色に輝くトゥルドゥスに乗ってる。
私たちシヴュラは二人揃わないとシムーンを動かせないけど、アーシュラにはパルがいなくて一人でトゥルドゥスに乗ってるの。どうやって飛んでるのか、不思議だよね!
それ以上に不思議なのは、私たちと同じ言語で会話できるってことだけど。本当に二万年前の人間なのかなぁ?
「またここをウロチョロしに来たのかしら?」
「こいつらを残らずやっつけてしまいなさい!」
赤い髪の女は、クリサリス。アーシュラと同じ二万年前の人間らしいけど…ソール・イーノルドの親衛隊って名乗ってる、クリサリスを含む五、六人の奴らはアーシュラとは違って、遺跡に近づく者を手当たり次第攻撃してくるの!
一人一人がトゥルドゥスと同じくらい強いウンブラ・シムーンに乗ってて、しかも私たちのシムーンの装甲を簡単に破壊するほど強力な光線砲を撃てる無人兵器を虫みたいにゾロゾロ連れて襲ってくるから、もう最悪!
「可能ならば敵のシムーンを奪取するように、とあるわ」
コール・テンペストのシムーン6機、力を合わせて何とかクリサリスのアラウダを撃退した私たちだけど、中央大聖廟から今度は
“ウンブラ・シムーンを確保しろ”って言われて…
「あのウンブラ・シムーンをかっさらえって言うの?なんだかワクワクするね!」
「ウンブラ・シムーン奪取にすっかり目を奪われている…これじゃろくな事にならないぞ」
賛成、反対、私たち十二人の意見も真っ二つに分かれちゃって…私はちょっと面白そうかなって思うんだけど、アーエルはどう思ってるのかな?
せっかくだから声をかけてみようっと♪
「私と一緒にウンブラ・シムーン捕まえに行こうよ!」
そう言ってアーエルを誘おうとしたけど、
「あたしはあんたのパルにはならないよ」
って、アーエルは冷たい返事。
「ちぇ…つまんないの!」
アーエルっていつも私には優しくないよね。リモネとかロードレアモンには優しいっぽいのに…なんかずるい。
「あたしより先にウンブラ・シムーン捕まえたら考えてあげてもいいよ」
え?考えるって…私のパルになってもいいってこと!?
「本当!?約束だよ!」
私がアーエルより先にウンブラ・シムーンを捕まえたら。
「絶対!絶対!約束だよ!」
こんなチャンス、二度とないかもしれないもんね。
「や やっぱり止めようかなぁ…」
あ、ずるい。シヴュラに二言はないんだからね!
「ダメダメ!もう約束したからね!よ〜し!がんばるゾーッ!」
ってわけで、いざ!ウンブラ・シムーンを捕まえてアーエルとパルになっちゃう大作戦!…と思ったんだけど。
アーエルより早く捕まえるってことは、アーエルの力を借りないでウンブラ・シムーンを捕まえなきゃいけないわけで…
「…悪いけど、ほかを当たってくれる?」
今は私のパルはアルティだから、当然一緒に…行けなかった。
「えー!なんでなんで!?」
アウリーガがいなくちゃシムーンを飛ばせないよぅ…
「姉さんが乗り気じゃないみたいだから。私も行かないよ」
これだよ。アルティってば、寝ても覚めても四六時中姉さん、姉さん、姉さん!
「ほんっと、アルティは筋金入りのコーンフレークなんだから…」
あんなにカイムに邪険にされても姉さんが世界一大好きなんて、カイムがうらやまし…くもないか。
「それを言うならシスコーン…いや、シスコンでしょ」
マミーナもあきれとったわ。
「って、マミーナは行かないの?」
確か、マミーナもウンブラ・シムーンを捕まえるって張り切ってたはずだけど。
「あら、知らないの?アウリーガだけでもシムーンは飛ばないってこと」
「そんなこと知ってるし。マミーナにはユンが…」
悔しいけど、アルティと私じゃ全然かなわないくらいマミーナとユンは息ぴったりのパルだよね。
「その気難しいサジッタ様がね。1秒で全否定されたわよ」
…あ、そういえば。
「断る」
ユンは誰よりも強く反対してたんだっけ…
「ふーん。でもマミーナはネヴィリルのパルになりたいんだよね?」
ネヴィリルには全然相手にされてなかったけど。
「パルはともかく、あのシヴュラ・アウレアに“抜け駆けして私たちだけウンブラ・シムーン強奪に行きましょう”って、あなたなら言える?」
「そんなの100%却下されるって、胸張って言えるよ」
「まあ。私と同じくらいの数値だわ。こんな偶然ってあるのね」
「誰が誘っても小数点の誤差も出ないと思うけどそれでも偶然って言い張るならもうそれでいいや」
確かに、ネヴィリルがそんな話に乗るわけないし…ってことは、
「えーと…マミーナはアウリーガで、私はサジッタだよね?」
やろうと思えば私もアウリーガでやれる自信はあるけどね♪
「まあ、あなたはどうか知らないけど私はサジッタやる気はないからね。相手が誰であろうと私がアウリーガよ」
根拠のない…って言ったら絶対怒ると思うけど、自信満々に言うマミーナ。
「その強すぎる自己主張のせいでネヴィリルに嫌われるんじゃ…」
「大きなお世話よ!」
ほらね。
「うーん。お世話ついでに、どうかなぁ?」
「…は?」
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