その他夢

□美しい人
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美しい人。



もうすぐ死ぬんだ。散々脳をいじくられてもうまともな思考ができない私だけど生死のことだけはちゃんと考えられる。これはもしや普通の人間よりよっぽどマシなのではないかと思った。少なくともこんな風にいたいけな子供をさらっては人体実験を繰り返す狂ったマフィア共よりは、マシ。どんないじくられ方をしたのかわからないけどマシじゃないのは分かる。分かることが多い。多分私はこれから殺される。それが見えた。綺麗な男の子が私をぐちゃぐちゃにする。ううん、ぐちゃぐちゃじゃない、結構綺麗にかな?でも両手両足を拘束されて息を吸う、吐く、チューブに繋がれた私はもう逃げられない。でも何回も見た、あの血だまりの中でせせら笑う彼を見れば、意識がもはや生から切り離される。

それくらい、彼は綺麗で、そしてこの世界に絶望していた。



「そういえばそんなこともありました」

そう笑う彼がいた。名前を骸と言った。彼は綺麗に笑う。私は彼が本当に同じ人間なのだろうかと不安になる。それくらい彼は綺麗だ。あっさり捨てた私の生は彼によってこの醜い世界に再びすくい上げられた。言葉を発しない、食べない、飲まない、でも生きている私の存在はまるで本で読んだゾンビではないか。だったら嗚呼、私には捨てる生すらなかったのね。ボロボロのソファーに寝転がって私は夢を見る。彼と、彼の夢の夢。

「お前は僕が死ぬ時に死んでください」

えぇ約束します、
美しい人





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