バッジは四個で断念した。そこそこのものだろう。それでもポケモンと直接向き合う仕事がしたかった私は旅を止めて看護学校に行った。ジョーイになるために猛勉強した。学校を卒業して配属先が決まった時は嬉しかった。例えそれがシロガネ山だとしても。
勿論新人な私は先輩ジョーイさんの元、今日もシロガネ山でジョーイの仕事をしている。とは言え、バッジを揃えてリーグ制覇しないと開かないゲートの先にあるこのポケモンセンターに人は来ない。全くと言って良いほど。だから時々現れる野生の、怪我をして弱ったポケモンを連れてきては手当てをしている程度だ。
今日はニューラの子供の手当てをして、山に帰した。確かにシロガネ山の野生のポケモンは強くて凶暴だ。私も何度か死にかけたことがある。まぁその何度かも運良く、奇跡的に、助かっている訳だけど。
「あれ、ピカチュウ?」
「どうかしたの?」
「いや先輩、今ピカチュウが見えた気が…」
「あら、シロガネ山にピカチュウは生息していない筈よ?」
「ですよねぇ…」
うん、今日もシロガネ山は平和!
ラブストーリーは始まらない。.