献上夢
□君、知ることなかれ
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「雲雀さん、今回はどこに行かれるのですか?」
「イタリア」
カツカツと鳴らした靴底と床がぶつかる規則正しい音に、不規則に響くパタパタとまるで子どもが走るような音。
「イタリア?お気をつけて!お土産はピッツァが良いです!」
「君も来るんだよ」
「あのぅ……委員長、差し出がましくも毎回思うのですが、私が同行する意味は?」
懐かしい呼び名に心の中でイラつきながら。
こんな押し問答は僕が移動する度に起こる。
…いい加減気付けと言いたいね。
「ピザを持ち帰るくらいなら君を連れて行った方がマシだよ」
君、知ることなかれ
十年経っても君の鈍さは一級品!
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