D.Gray−man

□向日葵
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蝉が鳴き

向日葵の花が咲き誇る。

天高く陽は登り

海の波が打ち寄せては引いていく。

『向日葵』

「あっれ〜。ラビがいない・・・。」

アレンはそこにいるであろうと思っていた彼がいないと分かると、その部屋をあとにする。

「どこ行っちゃったのかなぁ・・・?」

アレンが教団の庭を歩いていると、木陰に誰かが本を読んでいる。
この距離では誰なのか分からないが、アレンには分かっていた。

「ラビ。」
「ん?あ・・・アレン・・・。」

読んでいた本から、アレンへ視線を移す。

「どうしたんさ?」
「『どうしたんさ?』じゃありませんよ。今日は、僕と一緒に出かける約束してたじゃありませんか!!」

ラビは暫く考えると、青ざめていく。

「あっ!!」
「はぁ、やっぱり・・・。」

ラビはその場で正座して、アレンに謝る。

「ごめんさ〜!!許してくれる?」
「どうしましょう。」

アレンはいじわるっぽく言う。

「本当に悪かったさ〜。お願いっ!この通りだから、な?」

ラビは必死で謝ると、アレンは笑ってラビの頭を撫でた。

「仕方ないですね。」
「アレン・・・」
「今回だけですよ?」

その言葉を聞いて、ラビは立ち上がり、アレンに抱きつく。

「嬉しいさ〜WW」
「はぁ、今日がラビの誕生日じゃなかったら、怒ってましたよ。」
「・・・はい?」

ラビの頭上には疑問符が並ぶ。

「ちょっと待つさ。今日は何月何日で、誰の誕生日だって?」
「え、今日は8月10日で、ラビ、貴方の誕生日でしょ?」

ラビは、しばらく考えると、

「あー!!」

と大声を出す。

「今日、オレの誕生日さ!!」
「自分の誕生日も忘れてたんですか?僕、出かけるのは、ラビの誕生日だから、って思ってました。」
「・・・え、もしかして、オレの誕生日じゃなかったら・・・」
「もちろん」

アレンは黒く笑い、

「断ってましたよ♪」
「・・・・・・。」

ラビは両腕を伸ばしながら欠伸をする。

「今からデートもな〜・・・。明日じゃ駄目?」
「今日だけです。」

アレンはそう言うと、ラビの隣に座った。

「今日のことも忘れてたし、どうせ僕より、本なんでしょ?だったら明日に延ばすとか、無理しなくていいです!」
「アレン・・・。」

ラビは怒っているアレンの唇に自分の唇を重ねた。

「っ////」
「約束忘れてたのは、マジでゴメン。でも、オレの一番はアレンだから。」

そう言って、アレンを優しく抱き締める。

「・・・嘘言わないでください。」
「嘘じゃないさ。本当にアレンが一番好き。」

アレンはラビの抱き締める腕をほどく。

「ア・・・アレン?」
「どうせ、僕のことをいつかは捨てるんでしょ?なのに、どうしてそんなことを言うの?」

アレンの目からは涙が頬を伝って落ちる。

(違う・・・そんなこと、言いたかったんじゃない!)

「ラビはいつもそう。僕のためとか言ってて、本当は自分のためじゃないですか!」
「アレンっ!」

ラビがアレンに触れようとしたとき、アレンはその手を叩く。

「アレン・・・。」
「ラビの馬鹿!!」

そう言って、アレンは走って行った。
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