落乱SS illust
□裏表の助け船
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食堂へと続く渡り廊下で、なにやら小平太と長次がきり丸に詰め寄っているのを眼にし、俺は立ち止まった。
何をやっとるのかは知らんが、小平太のやつがきり丸を壁に押し付けて、何かを無理に訊き出そうとして居るように観える。
あれでは怯えさせてしまうだけだろう。
呆れて観ていると、ふ、ときり丸と視線が合った。
案の定怯えて眼に涙を溜めたきり丸は、俺を助け船とでも思ったのか、小平太の腕をなんとか振り払いこちらへ走って来た。
「し、潮江せんぱぁい…っ!」
助けてと言わんばかりにうるうるした眼で見上げられると、助けるどうこう以前に襲いたくなることを、果たして、こいつは知っているのだろうか。
俺はきり丸を背中に隠し、迫り来る小平太と、にじりよる長次の前へ立ちはだかった。
こいつは、これからも俺だけを頼る様に、なるべきだ。と思うのだ。
2010.9.28