落乱SS illust

□好きな人
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「きり丸、私たちの中で誰が一番すき?」
「金吾かな」
「「「ええぇッ?!」」」

その即答に、は組の驚愕する声が響いた。

「ぼ…僕…!?」

当の本人と言えば、まさかの出来事に顔を真っ赤にしている。
当惑しながらきり丸へ自分の顔を指さして観せると、

「そーだよ」

なんでもないように言ってのけるので、金吾は長年の片想いに終止符が打たれた事にいまいち実感が沸かなかった。
当のきり丸は特に興味なさげな表情を浮かべた後、首を傾げた。
己のせいで金吾に向けられる羽目となった嫉妬の眼にも気付かず、なんでみんな金吾に注目してんだろ?と、そちらにばかり気が向いてしまうのだ。

「なっなんで金吾なの?!」

団蔵は今にも泣き出しそうな顔をして自分ときり丸を隔ててる机に両手を激しく付き、身を乗り出した。
は組のみんなはそんな団蔵に内心、ナイス団蔵!と指を鳴らしていたが、今の顔を団蔵の所属している会計委員の委員長、潮江文次郎に観られていたら、確実に、情けないと叱られていたであろう。

「金吾だから」
「???」

皆が一斉に首を傾げる。
それじゃあ答えになってないよ。という団蔵の力ない涙声がきり丸の耳を掠める。
きり丸は面倒臭そうに目を瞑ると、息を深く吸い込んだ。

「乱太郎 しんべヱ 団蔵 兵太夫 三治郎 虎若 伊助 庄三ヱ門 喜三太」

一辺に一年は組のよい子達の名前を言う。
本人たちはきり丸に名前を呼ばれると、ピンと背筋を伸ばしていた。
金吾だけ、僕は?と、内心膨れっ面であるが…

「ほら、金吾以外に名前に「金」ってつくやついないだろ?」

…―――、

暫しの沈黙。
そしては組の案著の声が教室に溢れた。
金吾一人を除き…



 
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