【旅小説】

□好奇心 <16P>
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――――風に流れる闇空の雲間から、月の光が時折差し込み下界を照らす。


 空を覆う雲は、徐々に星に姿をかえ、月夜が存在するものの表情をさらけ出しだした。


 湖は静かに水を讃え、森は風に身を委ね、木々の囁きに包まれる。



 人々が眠りに誘われた街は、静けさに満ちていた―――――――









 …街の、とある建物の窓に差し込む月明かりが、室内の重なる二つの影を優しく照らし、かたちどる。

 …押し殺した声が時折窓から漏れだし、風に掻き消された……。 



「……………くぅ…!」


 …ギシ、とベッドが軋み、一つの影が大きくびくんと跳ねる。



「…………さんぞ……我慢しないで……」



 …三蔵と呼ばれた影は、熱い吐息を漏らしながら手で口を抑え、必死に込み上げる声を飲み込み…… 


「………………はふ………はぁふ……っ」


 …額にうっすら汗を滲ませ、月を映す紫瞳には涙が潤み、今にも零れ落ちそうだ。




「……辛いでしょう……?………声…出して…」



 …重なる影が優しく囁き、口を覆う手を静かに下ろした。


 …手は温もりを探して宙をさ迷うが、やがてもう一つの影が手を差し延べると、安心したように握り返した。





「……!…………やぁ…っ!…は…………かい…っ…」


 …安心したのも束の間、八戒の指の腹が、三蔵の下部の蕾を擦り、侵入を試みる。



 「……………ん?どうしました?三蔵……?」



 途切れ喘ぐ声で、八戒と名を呼び、僅かな抵抗をする三蔵に、八戒は愛液を絡ませた指を少しずつ沈めていけば……



「…………ひぁあん…ッッ!」


 …性感帯を突かれ、一際高い喘ぎ声が空気を引き裂く。
 …ぬちゃぬちゃと卑猥な音をたて、指を出し入れしながら慣らしてやると、三蔵の口から甘い悲鳴が喉を割って飛び出した……。




「……………そろそろですね……」




 …おもむろに八戒は指を抜き、三蔵を組み敷くと、いきり立つ自分自身をヒクつく後孔に加え込ませた……。


「…………あああぁッッ!……」








 ………二つの影は月明かりを受け、やがて一つになった――………。








 …………月明かりを遮り、暗闇に姿を溶け込ませた瞳が、二つの影の成り行きを静かに見つめる…………。



 …………やがて部屋が静寂に包まれると、眼は闇夜を滑り、姿を消した……………。


 
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