◇頂き文◇

□under the blue rose
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『under the blue rose』

「ヒロさん、好きです」

囁くように 言い聞かせるように 何度も繰り返される言葉。

「……っつ、知ってるっ」

同じことを伝えたいのに 簡単なことが どうしてもできなくて。

「じゃあ、ヒロさんは? ……俺のこと、好きですか?」

その たったひとつの言葉を告げることが どうしても。

「……知ってんだろ」

そんな自分が たまらなく もどかしいのに。

「知ってますけど、ちゃんと教えてもらってないから、合ってるか判りません」

年下のくせに いつもは少ない口数が こんなときだけ饒舌で。

「……合ってる。多分」

だから 多少 意地悪く言ってみる。

「多分って」

同じくらい揺らげばいい。

「答えは……埋めとくから……そのうち見ろ」

精一杯の虚勢の中に 一握りの真実を混ぜておくから。

「埋める?」

焦らしながらも 一欠片の告白を。

「……薔薇の樹の、下に」

たったひとつ 伝えたいこと。

「薔薇の樹の下、ですね?」

やわらかな微笑みに 気づいてくれたことに ひどく安堵する。

「あぁ。……覚えとけ。青い薔薇の下だ」

今は そんなふうにしか言えない言葉。

……『under the blue rose』……

それは ふたりだけの 完璧な秘密

永遠に守られる約束
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