遙か平安の時参章
□幕漆夢
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『………』
ここは何処なんだろ…。
多分、西に向かったと思うけど…。
途中まで桃吾が追いかけて来てたのは分かったけど、流石に馬には勝てない。
来た道に何かを残す事も出来なかった…。
はてさて、どうやって逃げるか。
(男)「……。なー姫さんや」
『ッ!』
(男)「なーに考えてんだ?」
『…別に』
(男)「逃げ出す案でも考えてんのか?」
『そーね。ここに長居するつもりは無いからね』
(男)「そーか。でも、逃げられちゃ困るんだわな」
『………』
(男)「アンタ、本物の姫さんじゃ無いだろ?」
『…何のこと?』
(男)「惚けんならそれはそれで構わねぇよ。でもな、アンタは姫さんにしちゃ肝が据わりすぎてる。箱入り娘とは訳が違う。アンタ何もんだい?」
『必ずしも、邸の中で大事に大事にされてるとは限らない。籠の中の鳥だってたまには広い空へ飛びたいものでしょ?』
(男)「アンタ、面白ぇな」
『あたし、面白い事は何も言ってないけど?』
(男)「いいね、気に入った!アンタ、俺の嫁にしてやる!」
『はっ!?』
(男)「よし、丁度いい!その格好だ、祝言を挙げよう!」
『ちょっと!勝手に決めないで!!!』
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