遙か平安の時参章

□幕漆夢
3ページ/6ページ


『………』



ここは何処なんだろ…。



多分、西に向かったと思うけど…。



途中まで桃吾が追いかけて来てたのは分かったけど、流石に馬には勝てない。



来た道に何かを残す事も出来なかった…。



はてさて、どうやって逃げるか。



(男)「……。なー姫さんや」



『ッ!』



(男)「なーに考えてんだ?」



『…別に』



(男)「逃げ出す案でも考えてんのか?」



『そーね。ここに長居するつもりは無いからね』



(男)「そーか。でも、逃げられちゃ困るんだわな」



『………』



(男)「アンタ、本物の姫さんじゃ無いだろ?」



『…何のこと?』



(男)「惚けんならそれはそれで構わねぇよ。でもな、アンタは姫さんにしちゃ肝が据わりすぎてる。箱入り娘とは訳が違う。アンタ何もんだい?」



『必ずしも、邸の中で大事に大事にされてるとは限らない。籠の中の鳥だってたまには広い空へ飛びたいものでしょ?』



(男)「アンタ、面白ぇな」



『あたし、面白い事は何も言ってないけど?』



(男)「いいね、気に入った!アンタ、俺の嫁にしてやる!」



『はっ!?』



(男)「よし、丁度いい!その格好だ、祝言を挙げよう!」



『ちょっと!勝手に決めないで!!!』





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ