遙か平安の時参章

□幕漆夢
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(男)「何、照れてんのか?」



『はっあ!?悪いけど、アンタに嫁ぐ気は全くないから!!!あたしは帰るから!!!』



(男)「おっと。そーは行かねぇな」



『ちょっと放して!』



(男)「放さねぇぜ姫さん!俺の名前は祈和(いなぎ)。アンタの名前は?」



『…聖華』



(祈)「聖華か…。良い名だな、姫さん」



『褒めたところで、言いなりになんてならないから!』



(祈)「そんな甘い事は考えちゃいねぇよ。んまぁ、大人しくしててくれや」



『…何なんだよ』



調子が狂う…。



でも、ゆうちょに助けを待ってられない!



脱げるもの脱いで!



逃げる!



(男)「お頭!女が逃げやした!」



(祈)「ッ!…アハハハハ良いね!益々気に入った!絶対手に入れてやる!」



(男)「逃がすな!」



『流石、山の中で生活してるだけあって、追いつかれるの早いな』



だいぶ、山篭り生活から時間経ってるから鈍ってきたな…。



『でも、早々に捕まってたまるもんか!ふっ!』



(男)「グハッ」



(祈)「姫さん、何処へ行こーってんだ?これから俺達の祝言だぜ?」



『何回も言わせないで!あたしはその気ないって言ってんでしょ!』



(男)「グハッ」



(祈)「そんな気が強くちゃ、誰も貰ってくれないだろ?」



『御生憎様!これでも好いてくれる人くらい居るんでね!ふっ!』



(男)「グハッ」




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