JOJO's

□愛する貴方の為ならば
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仕事の帰り、ペッシはプロシュートを乗せて車を走らせていた。
プロシュートは息を荒げており、電話をかけていた。
それを横目に心配しつつ、ペッシは車を飛ばした。

「くっそ、出やがらねぇ」

脇腹を抑えながら苦しそうに毒ずくプロシュート。
その痛々しい様に、ペッシは涙が出そうだった。

「もう少しの辛抱ですぜ兄貴ィ〜ッ」

「馬鹿野郎ッそのままアジトに戻るやつがあるかッ!」

プロシュートは怒鳴りながらペッシの頭をどついた。
そしてそのどついた手でハンドルを握ると、交差点をノーブレーキで左に曲がった。
急カーブした勢いで窓に頭を打ちつけながらペッシはハンドルを握り直した。

「そのまま暫くドライブしてろ」

プロシュートは煙草に火を付け、車のボックスから銃を取り出し、構える。
窓を開けると、銃声が飛び交い、砕けた弾が飛んでくる。

「ったく、喧しい連中だぜ」

そう言うとプロシュートは後ろのハーレーに向けて撃った。
そんなのを続ける内に、相手車体の後ろから警察車輌が見えた。
プロシュートは煙草を窓の外に放り、銃を仕舞った。

「次の交差点を曲がって迂回しろ」

「ど、どうするんで?」

「なぁに、テメェ得意の釣りをすんのさ」

プロシュートはニヤリと笑って新しい煙草に手を付けた。
曲がった先には大きな廃ビルが見えた。
そこでペッシはプロシュートの考えの大方を理解した。










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アジトに着くや否や、ペッシは急いでプロシュートを担ぎ込んだ。

「リーダーッ!リーダーッ!」

叫びながらリビングに入ると、リゾットは驚いたようだった。
しかし、すぐにいつもの表情に戻ると、呼吸の少ない、脇腹に穴の空いたプロシュートを抱き抱え、自室へと運び込んだ。

「ペッシ、ホルマジオが居たはずだ。呼んでこい」

「へ、へいっ!」

ペッシはホルマジオの部屋を叩いた。
出てきたホルマジオはペッシの表情から察したのか直ぐにリゾットの部屋に向かってくれた。
しかし、部屋の前までくると、絶叫が聞こえた。

「ぐ、あぁぁぁぁぁぁぁッ‼︎うあああああああ!止めろッ‼︎止めてくれぇッ‼︎」

そこでペッシの心は折れた。
尻餅をつき、涙が溢れ、体を震わせた。
ホルマジオはペッシの肩を叩いてからリゾットの部屋に入っていった。

「ぁあ、兄貴ィ〜〜〜ッ‼︎」

ペッシは入れない部屋の前で祈るしかなかった。



3時間後、悲鳴が消えるとともにホルマジオが出てきた。
扉の横でしゃがんでいるペッシの隣に座り、煙草に火を付けた。

「何があった、失敗したのか?」

ペッシは失敗という言葉に反応すると、ホルマジオの胸ぐらをつかんだ。

「兄貴がそんなヘマすると思ってんのかッ‼︎」

涙の止まらないペッシを、ホルマジオはなだめた。

「そうは言ってねぇだろ、何があった」

ペッシはホルマジオを掴む手の力を抜いて、涙ながらに話した。

「た、ターゲットは殺ったんだ。けど、けど、前の奴の残党と出くわして、兄貴は撃たれたんだ」

「普通に撃たれただけであんなでけえ穴空くわけねぇだろ」

「相手はスタンド使いだった。兄貴はそいつ等も全部、廃ビルに誘い出して、皆殺っちまった」

ペッシは気づいていなかったが、ホルマジオは密かに壁の向こうにいるギアッチョとメローネに死体の処理を頼んだ。
と言っても顎で合図した程度だが、2人とも黙って頷き、アジトを後にした。

「心配すんなよペッシ。プロシュートは無事だ」

ホルマジオがそう言うと、ペッシは本格的に泣き出した。
ホルマジオはそんなペッシのせなかを世話の焼けるやつだと思いつつ、慰めるようにさすった。

「さ、プロシュートが目を覚ますまで珈琲でも飲んでゆっくり待とうぜ。あいつの事だ、どうせすぐ起きてお前にお説教するだろうぜ」

ペッシはただ頷いた。














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目を覚ましたプロシュートは唸った。

「ッつ〜〜ッ」

体を起こすとともに、脇腹からのズキズキとした痛みに、眉をひそめる。
しかしすぐにそんなことは頭からなくなる。

ベッドの横でうつ伏せに眠るリゾット。
顔は疲労と不安の色であった。
眉間にしわを寄せ、シーツを握りしめている。

「、、、プロシュート、、、」

愛おしそうに自分の名前が呼ばれる。
自分も愛おしくなり、リゾットに手を伸ばす。
そっと頬を撫でると、リゾットの目から涙がこぼれた。

「いくな、プロシュート、、、」

プロシュートは息を詰まらせた。

(俺はまた、お前を不安にさせているのか、リゾット)

頬にあった手を頭に移動させ撫でる。
その柔らかな髪を撫でるのは、久しぶりのことであった。

「プロシュート…?」

「よぅ、助かったぜリゾット」

なるべく優しい声で、リゾットを安心させるようにプロシュートは努めた。
リゾットに微笑むと、リゾットはプロシュートの腰とも腹とも言えるところに抱きつき、頭を押し付けた。

「また嫌な役をさせちまったな」

そう言うと、リゾットは震える声で、

「まったくだ…」

と、そう言った。

「お前は一体どれほど俺を心配させ、こんなことをさせる気だ。」

「悪りぃ、」

「俺は二度と御免だぞ。あんな思いをするのは」

「分かってる」

プロシュートはリゾットの体を引き寄せ、そっと口付けた。
リゾットは抑えが効かなくなったようにプロシュートの唇を貪った。
プロシュートはリゾットの首に腕を回し、まるで子供をあやすようにリゾットの髪を梳いた。

「痛かったろ、俺の能力ではあんな治療しか」

言葉を詰まらせつつ、リゾットはプロシュートの怪我の部分にそっと口付ける。

「気にすんな。お前のに比べりゃこれくらい…」

リゾットは嬉しかった。
プロシュートに、不本意とは言えあんな痛い思いをさせた自分を、プロシュートが許してくれることが。

「愛してるプロシュート」

「あぁ、俺もだよリゾット」

二人は再びキスをした。
まるで、これから起きることを知り、お互いの存在を確かめ合うように。






END

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